慢性腎不全とは?

慢性腎不全

慢性腎不全とは、腎臓の機能が徐々に低下し、最終的には正常に働かなくなる病気です。腎臓は血液をろ過し、老廃物や余分な水分を排出する重要な役割を担っています。しかし、慢性的なダメージを受けることで腎機能が低下し、体内のバランスが崩れてしまいます。

慢性腎不全の原因

慢性腎不全は、さまざまな疾患が通常は長期間にわたって腎臓に負担をかけることで発症します。主な原因として、以下のようなものがあります。

  • 糖尿病(糖尿病性腎症)
  • 高血圧(高血圧性腎硬化症)
  • 慢性糸球体腎炎
  • 多発性嚢胞腎
  • 腎動脈硬化症

これらの病気が進行すると、腎機能が徐々に低下し、最終的に腎不全に至ることがあります。特に生活習慣病と言われる糖尿病高血圧をしっかり治療をする必要がある理由の大きな一つが腎不全を防ぐことにあります。

慢性腎不全の症状

慢性腎不全は初期段階では症状がほとんどありません。それが怖さの一つです。また、進行すると以下のような症状が現れます。

  • むくみ(浮腫)(特に足や顔)
  • 尿量の変化(減少または増加)
  • 倦怠感や疲れやすさ
  • 食欲不振や吐き気
  • 皮膚のかゆみ
  • 高血圧の悪化
  • 息切れや貧血

また、進行すると血液透析といって週3回腎臓の代わりに機械に腎臓の代わりに老廃物を処理してもらうという治療が必要となります。

症状が出ることにはそれなりに腎臓が悪くなっており、治療が必要です。また、症状がない頃からしっかりとした治療を行うことで将来的な透析の可能性を防ぐことが大切です。

慢性腎不全の診断方法

腎不全を診断するためには、以下のような検査が行われます。

  • 血液検査(クレアチニン・eGFRの測定)
  • 尿検査(タンパク尿や血尿の有無)
  • 超音波検査(エコー)(腎臓の形態異常を確認)
  • 腎生検(腎臓の組織を採取して詳しく分析)

慢性腎不全の慢性は3ヶ月以上続くことが条件であり、腎不全は蛋白尿が出ているか、腎臓の機能を測る採血検査糸球体濾過量(eGFR)の数値で判断します。

具体的な数字としてはeGFRで60ml/分/1.73㎡未満、蛋白尿1+以上が3ヶ月続くと診断にはなります。

非常に多くの方が該当し現在、日本には約1,330万人のCKD患者がいるといわれています。*日本腎臓病協会サイトより

慢性腎不全の治療方法

慢性腎不全の治療の基本は、腎機能の低下を遅らせることです。主な治療方法には以下のものがあります。

① 食事療法

  • 塩分制限(高血圧を防ぐため)
  • タンパク質の適量摂取(過剰摂取を避ける)
  • カリウムやリンの管理(腎機能低下時には注意が必要)

② 薬物療法

  • 降圧薬(ARB・ACE阻害薬)(腎臓への負担を減らす)
  • 利尿薬(むくみや高血圧の管理)
  • SGLT2阻害薬(蛋白尿の抑制効果)
  • エリスロポエチン製剤(貧血の治療)
  • リン吸着薬(リンの管理)

血圧が高い方、糖尿病が悪い方に関してはまずは原疾患の治療をしっかりすることが重要です。

それに加えてSGLT2阻害薬ARB・ACE阻害薬は腎臓への負担を減らすことがわかり、腎臓が悪い方に使用されます。また、特殊な腎障害の場合はステロイドなどを使う場合もありますが、まずは専門家による診断が必要です。

③ 透析療法・腎移植

腎機能が極端に低下した場合(末期腎不全)、透析や腎移植が必要になります。

  • 血液透析:血液を体外に取り出し、人工的に老廃物を除去
  • 腹膜透析:腹膜を利用して老廃物を除去
  • 腎移植:健康な腎臓を移植する

ここを避けなければならないためしっかりとした治療が重要です。

慢性腎不全の予防

慢性腎不全を予防するためには、生活習慣の改善が重要です。

塩分やたんぱく質を控えめに
適度な運動を心がける
定期的な健康診断を受ける
高血圧や糖尿病の管理を徹底する
水分を適切に摂取する

慢性腎不全を予防するためには、まずは高血圧、糖尿病の治療をしっかりやることが非常に重要です。また、それに伴い生活習慣の改善もあります。

一度悪くなった腎臓を劇的に改善する薬はなく、あくまでもしっかりとした日々の治療、生活の積み重ねが将来を助けます。

まとめ

慢性腎不全は、初期の段階では症状が少ないため、早期発見・早期治療が重要です。特に糖尿病や高血圧のある方は、定期的に腎機能の検査を受け、腎臓に負担をかけない生活を心がけましょう。


【注意】 本記事は一般的な情報提供を目的としており、診断や治療の代わりとなるものではありません。必ず医師の診察を受け、適切な治療を受けることをおすすめします。