慢性腎不全とは?

慢性腎不全とは

慢性腎不全

慢性腎不全とは、ゆっくりとした経過で徐々に徐々に腎臓の働きが低下して、最終的には腎臓自体が正常に働かなくなる病気です。

腎臓とは血液を24時間ろ過し続け、体にとっての老廃物や余分な水分を体の外へ排出する重要な役割を担っています。

そのため、腎臓がうまく働けなくなってしまうと、体に老廃物や余分な水分が溜まり、命に関わります。それほど腎臓の機能は欠かせないため、腎臓がうまく働けなくなった方は人工透析で、腎臓の代わりをするわけです。

慢性腎不全の原因

慢性腎不全は、さまざまな疾患が通常は長期間にわたって腎臓に負担をかけることで発症します。主な原因として、以下のようなものがあります。

  • 糖尿病(糖尿病性腎症)
  • 高血圧(高血圧性腎硬化症)
  • 慢性糸球体腎炎
  • 多発性嚢胞腎
  • 腎動脈硬化症

現在は40%程度が糖尿病、18%程度が腎硬化症(高血圧)による影響とされ、生活習慣病の悪化による影響が大きくあります。

そのため、糖尿病高血圧をしっかり治療をすることがとても大切なことです。

慢性腎不全のリスク

慢性腎不全の具体的なリスクと言われているのは下記の原因があります。

リスク原因
蛋白尿が+のリスク年齢、高血圧糖尿病脂質異常症、肥満、喫煙
睡眠不足
腎機能低下のリスク年齢、蛋白尿、血尿、高血圧糖尿病
脂質異常症、喫煙
それ以外のリスク家族歴、NSAIDsの常用、急性腎不全の既往
高尿酸血症、感染症、尿管結石

慢性腎不全は生活習慣病と深く関連しており、早期に生活習慣の改善が重要です。

慢性腎不全の症状

慢性腎不全は初期段階では症状がほとんどありません。それが怖さの一つです。しかし進行すると症状が現れる場合があります。

  • むくみ(浮腫)
  • 尿量の変化(減少または増加)
  • 倦怠感や疲れやすさ
  • 食欲不振や吐き気
  • 高血圧の悪化
  • 息切れや貧血

症状が出ることにはそれなりに腎臓が悪くなっており、治療が必要です。また、症状がない頃からしっかりとした治療を行うことで将来的な透析の可能性を防ぐことが大切です。

慢性腎不全の診断方法

腎不全を診断するためには、以下のような検査が行われます。

  • 血液検査(クレアチニン・eGFRの測定)
  • 尿検査(タンパク尿や血尿の有無)
  • 超音波検査(エコー)(腎臓の形態異常を確認)
  • 腎生検(腎臓の組織を採取して詳しく分析)

慢性腎不全の慢性は3ヶ月以上続くことが条件であり、腎不全は蛋白尿が出ているか、腎臓の機能を測る採血検査糸球体濾過量(eGFR)の数値で判断します。

具体的な数字としては

eGFRで60ml/分/1.73㎡未満、蛋白尿1+以上が3ヶ月続く

と診断にはなります。

実は非常に多くの方が該当します。2024年現在では日本の患者数は約2,000万人で成人の5人に1人は慢性腎不全と言われています。(CKDガイドライン2024年より

蛋白尿が高度に出ている場合には、当院の場合は総合病院へ紹介させていただき一度専門家に精査を行ってもらいます。

慢性腎不全の治療方法

慢性腎不全の治療の基本は、腎機能の低下を遅らせることです。主な治療方法には以下のものがあります。

① 食事療法、生活習慣指導

  • 塩分制限(高血圧を防ぐため)
  • 禁煙
  • 日常的な運動や睡眠時間の確保
  • タンパク質の適量摂取(過剰摂取を避ける)
  • しっかりとした飲水

リスク因子にも喫煙があることからも、禁煙は強く勧められます。適度な睡眠を行うこともリスクは下がります。また、高血圧、糖尿病、脂質異常症は全てリスクとなるため、それに効果がある食事や運動療法はとても大切です。

② 薬物療法

  • 降圧薬(ARB・ACE阻害薬)(腎臓への負担を減らす)
  • 利尿薬(むくみや高血圧の管理)
  • SGLT2阻害薬(蛋白尿の抑制効果)
  • エリスロポエチン製剤(貧血の治療)
  • リン吸着薬(リンの管理)

血圧が高い方、糖尿病が悪い方に関してはまずは原疾患の治療をしっかりすることが重要です。

それに加えてSGLT2阻害薬ARB・ACE阻害薬は腎臓への負担を減らすことがわかり、腎臓が悪い方に使用されます。

また、特殊な腎障害の場合はステロイドなどを使う場合もありますが、まずは専門家による診断が必要であり、当院の場合は総合病院へ紹介させていただきます。

③ 透析療法・腎移植

腎機能が極端に低下した場合(末期腎不全)、透析や腎移植が必要になります。

  • 血液透析:血液を体外に取り出し、人工的に老廃物を除去
  • 腹膜透析:腹膜を利用して老廃物を除去
  • 腎移植:健康な腎臓を移植する

透析となると、通常は週3回半日程度の血液透析を行わなければならず、できるだけ避けれるように日々の治療や生活習慣の改善を行います。

慢性腎不全の予防

慢性腎不全を予防するためには、生活習慣の改善が重要です。

  • 塩分やたんぱく質を控えめに(高血圧の場合)
  • 適度な運動を心がける(生活習慣の改善)
  • 規則正しい生活、食事を心がける
  • 定期的な健康診断を受ける
  • 高血圧や糖尿病の治療をしっかり受ける

慢性腎不全を予防するためには、まずは高血圧、糖尿病の治療をしっかりやることが非常に重要です。また、それに伴い生活習慣の改善もあります。

一度悪くなった腎臓を劇的に改善する薬はなく、悪化をしないような治療がメインとなります。あくまでもしっかりとした日々の治療、生活の積み重ねが将来を助けます。

まとめ

慢性腎不全は、初期の段階では症状が少ないため、早期発見・早期治療が重要です。特に糖尿病や高血圧、脂質異常症のある方は、しっかりと食事運動療法、薬物療法を行うことが大切です。

時に症状なくとも定期的に腎機能の検査を受け、腎臓に負担をかけない生活を心がけましょう。

参考文献:

みどりのふきたクリニック

診療科目循環器内科、消化器内科、内科、訪問診療
場所静岡市葵区大岩町4-23 
アクセス静清バイパス唐瀬ICから5分 城北公園の近く
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