はじめに
冬になると「血圧が上がってきました」とおっしゃる患者さんが増えます。実際、寒冷環境では血圧が上昇しやすいことが、疫学研究や生理学的研究からも示されています。そして若者より高齢の方で起こりやすいです。
これは自分だけの偶然ではなく、さまざまな要因による体の自然な反応です。そのため、冬は高血圧の発症やさまざまな血管の病気が起こりやすい時期ともいえます。
この記事では、冬になぜ血圧が高くなることが多いのか?について説明します。
なぜ寒いと血圧が上がるのか?
まず大きな理由は血管が収縮することです。寒さを感じると、体は熱を逃がさないようにします。そのため、皮膚や手足の血管がキュッと縮みます。
ホースの先をつまむと水圧が上がるのと同じで、血管が細くなると血圧は上昇します。この反応は、自律神経のうち交感神経が活発になることで起こります。
寒さは体にとってストレスです。そのため交感神経が優位になり、心拍数が上がり、血管が収縮し、結果として血圧が上昇します。
寒い季節(気温により)に血圧が上がることは、これまで行われた多くの研究で確認されています。
さらに日本においては冬は、鍋料理や汁物が増える季節です。無意識に塩分摂取量が増えていることも少なくありません。また、夏場と違い汗をかくことが出るため、汗として出る塩分や水分が減少します。
そして寒さのために運動量が減ることも影響します。運動不足は血管の柔軟性を低下させ、血圧を上げやすくします。
こういった、さまざまな要因で血圧があがるのです。
寒いと実際にどれくらい上がるのか?
個人差はありますが、夏は130mmHg前後だった方が、冬には140mmHgを超えることも珍しくありません。いろんな研究では1℃下がるごとに、血圧が上がっていくことが示されてます。そのため、高血圧治療中の方では、冬だけ薬の調整が必要になることもあります。
寒冷地域では冬季に心筋梗塞や脳卒中が増加することも知られています。(Stewart S, et al. Seasonal variations in cardiovascular disease. Nat Rev Cardiol. 2017;14(11):654–664.)
血圧の季節変動は、単なる数字の変化ではなく、心血管イベントのリスクにも関係しているのです。
ヒートショックにも注意が必要
さらに日本においては冬の入浴時には特に注意が必要です。寒い脱衣所から急に熱い湯船に入ると、血圧が急上昇し、その後急激に低下します。この急激な血圧変動が、失神や心筋梗塞、脳卒中につながることがあります。これをヒートショックと呼びます。
ヒートショックは大きな病気の発症につながるため、特に高齢の方や高血圧のある方は注意が必要です。
今日からできる冬の血圧対策
まずはヒートショックを防ぐという意味では、室内を暖かく保つことが重要です。特に寝室、トイレ、脱衣所の温度差を小さくしましょう。入浴前には脱衣所を暖め、湯温は41℃以下、長湯を避けることが安全です。
また、冬は朝の血圧が高くなりやすいため、自分の体の状態をしっかり把握をする意味でも家庭血圧測定を習慣にすることも大切です。

食事に関しては、夏場同様に塩分摂取は1日6g未満を目標にしましょう。
外出が減る季節ですが、室内での軽い体操やストレッチでも構いません。継続することが大切です。

まとめ
寒い時期に血圧が高くなりやすいのは、血管収縮、交感神経の活性化、塩分摂取の増加や排泄不足、運動不足などが重なるためです。
血圧は季節によって変動します。夏と同じ基準で安心せず、冬はより丁寧な管理が必要です。しっかりと自宅で血圧を測定し、正確に血圧を把握していただくことが大切です。
みどりのふきたクリニックでは、静岡市の方を対象に、血圧の管理や治療、治療も食事や運動生活の改善を共にアプリを使って治療することや、栄養士さんによる栄養指導で、内服以外での治療も一緒に行うことができます。
「冬だけ血圧が高い気がする」「最近朝の血圧が高い」など血圧が心配という方はご相談ください。
