体の不調が続いていると「少し様子を見よう」と思うかもしれません。しかし、一部の症状は重大な病気のサインである可能性があり、早めの受診が重要です。
ただ、どんな症状が病院へかかったほうが特に良いのか?わからないという方も多いかと思います。また、怖い疾患の初期症状はご自身にとってあまり辛くない症状から始まることもあります。
本記事では、消化器内科医が考える、消化器系の疾患で注意すべき症状とその背景について解説します。
1. 血便が出る
まず第一に血便です。血便とは、便に血が混じることの総称です。
血液しか出ない場合もあれば、便に血がついているだけという場合もあります。ただ、便に血が混じるという症状の中には怖い病気もあるため、自己判断せず一度受診し検査を受けることをお勧めします。
まずどんなもので考えられるか?というと、一般的に皆さんが考える『痔』と大腸癌などの怖い病気があります。
大腸癌が進行して外来に来られた方も、数ヶ月前から血便を自覚している方も少なくありません。その患者さんたちは口を揃えて『痔』だと思っていた。とおっしゃっていました。
痔かどうかはしっかりと検査をしなければわからず、血便がある場合には自己判断せず受診をお勧めします。
2. 体重が数ヶ月で減少している
食事量を変えていないのに、短期間で3〜5kg以上の体重減少がある場合、何らかの病気が関与している可能性があります。
考えられる病気としては
- 胃がん、大腸がん、膵がん、肝がんなどのがん
- COPDなどの呼吸器疾患
- 甲状腺機能亢進症(バセドウ病)など
- 糖尿病
- 慢性炎症性疾患
- フレイル症候群など
などがあります。
がんは、腫瘍によるエネルギー消費の増加や、食欲低下を引き起こすことがあります。意図していない体重の減少が続く場合は、注意が必要です。
ただ、病気を探しても見つからない場合もありその場合は経過を見ていくことも重要です。また、症状がなくても定期的にがん検診や定期検診をうけておくことをお勧めします。
3. 便が細い
通常よりも細い便が続く場合、痔などの問題ないケースもありますが、癌などで大腸の内腔が狭くなっている病気が隠れていることもあります。
考えられる病気としては
- 大腸がん
- 大腸ポリープ
- 過敏性腸症候群(IBS)
があり、特に、便が細くなると同時に血が混じる、便秘や下痢を繰り返すなどの症状がある場合は、大腸の病変が関与している可能性があるため、一度受診をお勧めします。
4. 目が黄色い(黄疸)
鏡を見たときに白目の部分が黄色くなっている場合は、「黄疸」のサインです。肝臓や胆道系の異常によって、ビリルビンという色素が血液中に増加することで起こります。黄疸は比較的重症な症状であり、受診をおすすめします。

考えられる病気としては
- 肝炎(ウイルス性・アルコール性・自己免疫性)
- 肝硬変
- 肝がん
- 胆管がん、膵がん(胆管が閉塞)
- 胆石症
などです。黄疸は肝臓自体が働けなくなる肝障害、肝不全のほか、胆管結石や癌などの何らかの原因で胆管の流れが悪くなる場合に起こります。
黄疸がある場合は、肝機能や胆管の異常を評価するために、血液検査や画像検査が必要です。黄疸かもと思った場合には早めに消化器内科を受診しましょう。
5. 便が黒い(黒色便)
便が黒く、タールのような質感(いわゆるタール便)の場合、消化管の上部(胃・十二指腸など)からの出血が疑われます。胃での出血が行った場合には胃酸と血液が反応するため、黒くなります。
考えられる病気としては
- 胃潰瘍・十二指腸潰瘍(出血を伴う)
- 胃がん
- 胃炎
- 食事の影響
特に、黒色便とともにめまいや貧血症状(動悸・息切れ)がある場合は、出血量が多い可能性があり特に注意が必要です。
また、食事の影響やサプリメントの影響もあるため、特に炭のはいったようなサプリメントや、ブルーベリーなどを食べている場合はそれが影響している可能性はあります。病院へ受診する場合は申告しましょう。
(*実際に息子がブルーベリーにハマった際には便が黒くなりました笑)
まとめ
今回は消化器内科的にあったら受診を検討してほしい症状を紹介しました。
- 血便が出る
- 短期間での体重減少
- 便が細くなる
- 目が黄色くなる(黄疸)
- 便が黒くなる(タール便)
でした。これらが単独または複数ある場合は特に注意が必要です。
病気の早期発見・早期治療は、健康を守るための第一歩です。少しでも気になる症状があれば、消化器内科など内科を受診し、適切な検査を受けることも検討してください。
なにか症状で心配な症状があればお気軽にご相談ください。
