はじめに
年齢とともに「体が動かしにくくなった」「手が震えるようになった」と感じる方がいます。こうした症状の中には、神経の病気である「パーキンソン病」が隠れていることがあります。
この記事では、パーキンソン病とは何か、どんな症状が現れるのか、原因や治療法について、専門的な表現を避けてやさしく解説します。
パーキンソン病とは?
パーキンソン病は、脳の中にある「黒質(こくしつ)」という部分の神経細胞が少しずつ減っていく病気です。
この神経細胞は「ドパミン」という、体の動きをスムーズに保つための物質を作っています。ドパミンが不足すると、体の動きにさまざまな不具合が起こります。
パーキンソン病の主な症状
パーキンソン病では、4つの大きな運動症状があり、それらが特徴的な症状でゆっくり進行していきます。
1. 手や足が震える(振戦)
特にじっとしているときに手が小刻みに震えます。たとえば椅子に座っている時など力を入れていない時に起こります。反面、動かすとふるえは小さくなるのが特徴です。
2. 動きが遅くなる(動作緩慢)
パーキンソン病の特徴として動作が緩慢になるというものがあります。たとえば歩くときの歩幅が狭くなり、靴を引きずるようになります。(小刻み歩行)
3. 筋肉がこわばる(筋固縮)
関節がかたく感じられ、なめらかに動かせなくなります。また、他人が動かしたとしても硬さを感じます。
4. バランスがとりにくくなる(姿勢反射障害)
転びやすくなったり、後ろに引っ張られると倒れそうになったりします。
これらの症状は、進行性で、進行とともに日常生活に影響を及ぼすようになります。そのためはやめに発見して対処が大切となります。
また、運動症状以外の症状として便秘や頻尿、立ちくらみなどさまざまな症状が出てくることもあります。
パーキンソン病の原因は?
多くの場合、パーキンソン病のはっきりとした原因はわかっていません。ただし、以下のような要因が関係していると考えられています。
- 加齢(60歳以上で発症しやすい)
- 遺伝的な要因(家族に患者がいる場合も)
- 環境要因(農薬や金属などへの曝露が一部報告されています)
どのように診断するの?
診断には、症状の経過と神経の診察が中心です。
MRIなどの画像検査では明らかな異常が見つからないことが多く、「除外診断(ほかの病気でないことを確認する)」という方法がとられます。
また、近年ではドパミントランスポーター(DAT)検査という脳の機能を調べる特殊な検査も使われることがあります。
パーキンソン病の治療について
パーキンソン病は根本的に治す薬はまだありませんが、進行をゆるやかにしたり、症状を改善したりする薬が多数あります。
主な治療法は?
パーキンソンの主な治療方法としてはドパミンをどんな形かで体に補充するような下記のような薬剤です。
- L-ドパ製剤:ドパミンを補う薬で、最も効果的
- ドパミン受容体作動薬:ドパミンに似た働きをする薬
- MAO-B阻害薬:ドパミンを分解する酵素を抑える薬
これ以外にもさまざまな内服薬があります。
また、薬が効きにくくなった場合には、脳深部刺激療法(DBS)という外科的治療もありますが、専門機関でのみおこなわれます。
パーキンソン病の進行と向き合うために
病気はゆっくりと進行することが多く、早期からの対応がとても大切です。薬だけでなく、リハビリや運動療法、栄養管理も重要になります。
ご本人だけでなく、ご家族や医療者とともに、生活を見直しながら支えていくことが必要です。
おわりに
「パーキンソン病かもしれない」と不安を感じたとき、まずは神経内科や内科を受診してみてください。早期の発見と治療が、生活の質を保つ鍵となります。当院ではパーキンソン病の可能性があれば専門機関へ紹介して治療につなげていきます。
みどりのふきたクリニックでは、患者さま一人ひとりの症状に寄り添いながら、わかりやすい説明と丁寧な治療を心がけています。どうぞお気軽にご相談ください。