気管支喘息とは?
気管支喘息(きかんしぜんそく)は、気道(空気の通り道)に慢性的な炎症が起こる病気です。
この炎症のために気道が過敏になり、さまざまな刺激に反応して気道が狭くなってしまいます。その結果、咳(せき)や息苦しさ、喘鳴(ぜんめい:ゼーゼー、ヒューヒューという音)が発生します。
喘息は、適切な治療と管理によって症状をコントロールできる病気であり、しっかりとした治療を受けることが大切です。
気管支喘息の主な原因
子どもの喘息の場合は、ほとんどがアレルギーが原因とされています。
大人の喘息は子どもの喘息に比べ、原因が明確に特定できない場合が多いとされます。気道過敏の原因となるのは下記のようなものがあります。
① アレルギー(アトピー型喘息)
- ダニ・ハウスダスト
- 花粉
- ペットの毛やフケ
- カビ
② 非アレルギー(非アトピー型喘息)
- 風邪などのウイルス感染
- 寒暖差や湿度の変化
- タバコの煙や大気汚染
- 運動(特に寒い場所での運動)
- ストレスや疲労
特に喘息は、ウイルス感染などで風邪を引いた後に増悪することが知られています。
気管支喘息の症状
喘息の症状は、軽度なものから重症なものまでさまざまありますが、典型的な症状には以下のようなものがあります。
- ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音(喘鳴)
- 咳が長く続く(特に夜間や早朝に悪化しやすい)
- 息苦しさや呼吸困難
症状が悪化すると、発作を起こし、呼吸が困難になることがあります。
自分の呼吸がヒューヒューという音がしている気がするというときは要注意です。喘息は発作的に悪くなり、喘息発作がひどくなると、苦しくて寝られない(横になれない)という症状が出ます。
その場合はすぐに受診や治療が必要です。
気管支喘息の診断
喘息の診断には、症状の問診に加えて、以下のような検査を行います。
- アレルギー検査:アレルギーの原因を特定。
- 胸部X線検査:肺や気管支の異常を調べる。
- 呼吸機能検査(スパイロメトリー):肺の働きを調べる検査。
- 気道過敏性試験:気道がどの程度狭くなりやすいかを確認。
喘息の診断には、発作性の呼吸困難、喘鳴、咳などが反復しているという特徴があります。また、似たような症状を起こす疾患として、COPDやマイコプラズマ肺炎などもあり、それらも診察で区別する必要があります。
気管支喘息の治療方法
喘息の治療は、主に薬物療法と生活習慣の改善によって行われます。
① 薬物療法
喘息の治療には、簡単にうと症状を抑える薬(発作時)と長期的に管理する薬(予防薬、コントローラー)の2種類があります。
- 吸入ステロイド薬(長期管理薬):気道の炎症を抑えるため、発作を予防します。
- LABA:long-acting β-agonists(長時間作用性β2刺激薬)
- LAMA:long-acting muscarinic antagonist(長時間作用性抗コリン薬)
- β2刺激薬(気管支拡張薬)(発作時使用):発作時に気道を広げて呼吸を楽にする。
- ロイコトリエン受容体拮抗薬:アレルギー反応を抑え、症状の発生を防ぐ。
などです。そのほかにも発作時に使う、内服、点滴のステロイド治療や、ネブライザーでの吸入薬などもあります。
医師の指示に従い、毎日適切に薬を使用することが重要です。発作が治ったからといって長期的に管理する薬を辞めてしまうと再度発作が起こるなど悪化の原因となるため、長期に管理する薬はしっかりと継続することが大切です。
なかなか良くならない場合や発作を繰り返す場合には専門の先生に診てもらうように手配します。
② 生活習慣の改善
喘息の発作を予防するために、以下の生活習慣を心がけましょう。
- ダニやホコリを防ぐため、こまめに掃除をする
- ペットを飼う場合、アレルギーに注意する
- 風邪やインフルエンザの予防をする(手洗い・うがい・予防接種等で予防する)
- タバコの煙を避ける(禁煙・受動喫煙を防ぐ)
風邪などを引くと喘息が悪化しやすいため、しっかりと体調管理を行うようにしましょう。
気管支喘息と上手に付き合うために
喘息は慢性の病気ですが、適切な管理によって日常生活を快適に過ごすことができます。以下のポイントを守りながら、症状をコントロールしましょう。
- 医師の指示に従い、毎日治療を続ける
- 発作の兆候を早めにキャッチし、適切に対応する
- アレルゲンや発作の原因を避ける
- 定期的に通院し、治療計画を見直す
喘息の症状が悪化したり、普段と違う強い発作が起きた場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。
まとめ
気管支喘息は、気道が過敏になり、咳や息苦しさが生じる病気ですが、適切な治療と管理を続けることで、日常生活を快適に過ごすことが可能です。
- 症状がある場合は早めに受診し、適切な診断を受ける
- 薬を正しく使用し、発作を予防する
- 生活習慣を改善し、発作のリスクを減らす
喘息と上手に付き合いながら、健康的な生活を送りましょう。