はじめに
高血圧の治療で処方される血圧の薬(降圧薬)は、一度飲み始めると「ずっと飲み続けないといけないのでは?」と心配される方も多いかもしれません。
しかし、実際には生活習慣を改善することで薬の量を減らしたり、場合によっては中止できる可能性もあります。本記事では、血圧の薬の役割や生活習慣の改善について詳しく説明します。
血圧の薬の役割とは?
血圧の薬の役割は文字通り血圧を下げて正常の血圧に近づけることです。
また、血圧の薬の中には、心臓や腎臓を保護することがわかっている(エビデンスがある)薬などもあり、それらを目的に処方されている場合もあります。
血圧の薬を飲む目的
血圧が高い状態を高血圧と言いますが、ほとんどの方は症状としては何もありません。そのため、血圧の薬を飲んで血圧を下げることのメリットが実感できないと思います。
しかし、高血圧は、心臓や血管に負担をかけ、脳卒中や心筋梗塞、腎臓病などのリスクを高める病気です。
そのため、血圧の薬を医師が処方している目的は血圧を下げること単体ではなく、血圧を下げることでこれらのリスクを減らし、患者さんの血管や心臓を守るために処方されます。
生活習慣の改善で薬を減らせる?
上記の通り血圧の薬は、単に「血圧を下げる」ためではなく、「高血圧によるリスクを減らす」ために処方されます。
高血圧は生活習慣病の一種であり、多くの方は生活習慣により血圧が高くなっています。そのため血圧の治療の本元は生活習慣の改善であり、軽症の場合はすぐに薬でなくまずは生活習慣の改善を目指します。

しかし特に血圧がそれなりに高い場合、例えば血圧が180以上など極めて高い場合は、早期にリスクを軽減するため、初回から内服治療を処方する事も多いです。
なぜなら生活習慣の改善での血圧が下がる効果はダイエットのようなものですぐに現れるわけではないからです。
しかし血圧の薬を飲み始めた後でも、生活習慣を改善することで、薬の量を減らしたり、中止できる場合もあります。
生活習慣の改善が効果的なポイント
具体的な生活習慣の改善ポイントを挙げます。
- 減塩を意識する
- 塩分の摂取量を減らすことで、血圧を自然に下げることができます。
- 目標は1日6g未満(日本人の平均摂取量は10g程度)
- 適度な運動をする
- ウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動が効果的です。
- 1日30分の運動を目標にしましょう。
- 体重を適正に保つ
- 肥満は高血圧の大きな要因の一つです。
- BMIが適正範囲(18.5~24.9)に収まるよう、バランスの良い食事を心がけましょう。
- アルコールを控える
- 適量を超える飲酒は血圧を上昇させるため、注意が必要です。
- 1日あたり、男性は日本酒1合、女性はその半分程度が目安です。
- ストレスを溜めない
- ストレスが血圧を上げる原因となることも。
- 深呼吸や趣味の時間を持ち、リラックスする習慣を作りましょう。
- 禁煙を心がける
- 喫煙は血管を収縮させ、血圧を上げる要因になります。
- 禁煙することで、血圧の安定だけでなく、心臓病のリスクも下げることができます。
食事療法のポイントは下の記事でも触れています。

生活習慣を改善すれば薬をやめられるのか?
血圧の薬は手段であって、内服自体が目的ではなく血圧を下げ将来のリスクを下げることが目的です。
そのため、生活習慣をしっかり改善すれば、薬の量を減らせることがあります。 しかし、すぐに薬をやめることは推奨されません。自己判断で中止せず、必ず医師と相談しましょう。
薬を減らすためのステップ
- 生活習慣を3~6か月改善し、血圧の変化を観察
- 医師と相談しながら、薬の減量を検討
- 定期的な血圧測定を続ける
- 必要であれば薬を継続しつつ、さらなる生活改善を目指す
とにかく血圧の薬で全てをコントロールするのではなく、しっかり自分自身の生活習慣の改善を行うことが大切です。
まとめ
血圧の薬は、病気のリスクを減らすために重要ですが、生活習慣を改善することで薬の量を減らせる可能性があります。しかし、自己判断で中止するのは危険なため、必ず医師と相談しながら調整することが大切です。日々の生活を見直し、健康的な生活を送ることで、薬に頼らない体づくりを目指しましょう。
【注意】 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断や治療の代わりとなるものではありません。血圧の管理については、医師の指示に従いましょう。