花粉症とは?
花粉症は、植物の花粉が原因となって起こるアレルギー性鼻炎の一種です。スギやヒノキ、ブタクサなどの花粉が体内に入ることで、免疫システムが過剰に反応し、鼻水やくしゃみ、目のかゆみなどの症状を引き起こします。
全国の耳鼻咽喉科医とその家族を対象とした2008年の鼻アレルギー全国疫学調査(Progress in Medicine 28(8):145-156.2008)において、花粉症を有する者が29.8%であったとの報告もあり、多くの人が苦しんでいる病気です。
花粉症の原因となる花粉
花粉症を引き起こす主な植物には、以下のようなものがあります。
✅ スギ花粉(2月~4月がピーク) ✅ ヒノキ花粉(3月~5月がピーク) ✅ ブタクサ・ヨモギ花粉(8月~10月がピーク) ✅ カモガヤなどのイネ科花粉(5月~9月がピーク)
これらの花粉が飛散する時期になると、多くの人が症状に悩まされます。
花粉症の主な症状
花粉症の症状は、主に以下のようなものがあります。
- くしゃみや鼻水、鼻づまり(風邪のような症状)
- 目のかゆみや充血、涙目
- 喉のかゆみや違和感
- 皮膚のかゆみや湿疹
- 倦怠感や集中力の低下
症状の重さには個人差があり、軽い方は少し目が痒い、鼻水が出る程度ですが、ひどい方や重症化すると日常生活に支障をきたすこともあります。
花粉症の診断方法
花粉症の診断には、以下の方法が用いられます。
- 問診と症状の確認(発症時期や症状の特徴を医師がチェック)
- アレルギー検査(血液検査や皮膚テストでアレルゲンを特定)
まずは問診と、症状の確認です。これにより診断することもあります。、また、なんの花粉に対してのアレルギーなのか?の確認としてアレルギー検査があります。
これらの検査を通じて、花粉症かどうかを正確に診断します。当院でもアレルギー検査VIEW39で39項目のアレルギー物質に対する抗体検査を行うことができます。
花粉症の治療方法
花粉症の治療には、薬物療法と生活習慣の改善が有効です。
薬物療法
- 抗ヒスタミン薬(くしゃみ・鼻水・目のかゆみを抑える)
- 点鼻薬・点眼薬(鼻づまりや目の症状を和らげる)
- ロイコトリエン拮抗薬(鼻づまりの改善)
- ステロイド薬(症状が重い場合に使用)
- ゾレア点滴(重症のみ)
基本的には抗ヒスタミン薬という内服薬と、点鼻薬が治療の基本です。ステロイド薬は効果は高く出ますが、副作用も多く花粉症ではほとんど使用しません。(少なくとも当院では使用しません)
生活習慣の改善
- 外出時にマスクやメガネを着用する(花粉の侵入を防ぐ)
- 花粉が多い日は外出を控える(特に風の強い日や晴天の日)
- 帰宅時に衣服や髪をしっかり払う
- 空気清浄機を活用する(室内の花粉量を減らす)
花粉にできるだけ触れないようにすることが大切です。また、外で服などについた花粉は落としてから家に入る。家の中で空気清浄機を使う。加湿器で保湿しておくなども有用です。
花粉症の予防と対策
花粉症を完全に防ぐことは難しいですが、症状を軽減するための対策を行うことが大切です。
- 花粉飛散の時期を把握し、早めに対策を始める(内服治療を行う等)
- 花粉が付きにくい衣類を選ぶ(ウールよりもナイロンやポリエステル素材)
- バランスの良い食事を摂り、免疫力を高める
- 規則正しい生活を送り、睡眠不足やストレスを避ける
命に関わるようなものではないため軽視されがちですが、毎年症状が出て生活に支障をきたすという意味では非常に困る疾患です。症状が出現したら早めに対処をするようにしましょう。
7. 花粉症と上手に付き合うために
花粉症は一度発症すると、毎年繰り返すことが多いですが、適切な治療と予防を行うことで、症状を和らげることができます。
- 症状が出る前から薬を飲み始める(初期治療が効果的)
- 医師と相談しながら適切な治療を継続する
- 花粉を避ける工夫を日常生活に取り入れる
花粉症の症状が気になる場合は、早めに医療機関を受診し、自分に合った治療を行うことが大切だと思います。
また、薬局でも抗ヒスタミン薬は販売しており、受診が困難や億劫な方はぜひ内服しても良いと思います。