インフルエンザ
インフルエンザは、インフルエンザウイルスによって引き起こされる急性呼吸器感染症です。
毎年冬季に流行し、発熱、咳、のどの痛み、全身倦怠感などの症状を伴います。A型とB型があり、少しずれて流行します。ワクチン接種で重症化を予防することができます。
インフルエンザの原因と感染経路
インフルエンザは感染した方から感染します。潜伏期間は1〜3日で、感染力は症状出現1日前から解熱後2日まであるとされ症状が出る前から感染力があります。
- 飛沫感染:咳やくしゃみによる飛沫を介してウイルスが広がる。
- 接触感染:ウイルスが付着した手や物を介して感染する。
飛沫と接触感染があり、手についただけでは感染しません。そのためしっかり手洗いうがいをすることで感染を防ぐことができます。また、咳により飛沫していくので、家族に患者さんがいる場合は、マスクをしておくことが大切です。
インフルエンザの症状
インフルエンザは急激に発症することが多く、以下のような症状が見られます。
- 高熱(38℃以上)
- 寒気、悪寒
- 激しい全身の倦怠感・筋肉痛
- 頭痛
- 喉の痛み、咳
- 鼻水や鼻づまり
インフルエンザは発症すぐの38℃を超える高熱と節々の痛み、だるさ(倦怠感)が典型的な症状です。
これらの症状は通常、1~2週間で改善しますが、高齢者や基礎疾患を持つ方は重症化するリスクがあります。
インフルエンザの診断方法
- 問診・症状の確認:発症時期や症状、流行状況を基に診断。
- 迅速診断キット:鼻咽頭ぬぐい液を用いた検査で、短時間でウイルスの有無を確認。
- 血液検査やPCR検査:必要に応じて実施される場合があります。
基本的には喉の診察と、抗原キットの検査にて診断を行います。
インフルエンザの治療方法
① 対症療法
- 解熱剤・鎮痛剤:高熱や痛みを和らげる。
- 十分な水分補給と安静:体力の回復を促す。
インフルエンザも他のウイルス感染と同様に症状に対する治療(対症療法)が基本となります。しっかりと体を休め、辛い症状に対して内服薬や漢方を用いることもあります。
抗ウイルス薬
インフルエンザは健康な成人のかたは、対症療法のみで軽快することも多くあるため、必ずしも抗ウイルス薬を飲まないと治らないわけではありません。しかし、発症から48時間以内に開始することで、症状の重症化や合併症のリスクを低減し発熱する期間が1日程度短くなると知られています。
そのため、65歳以上の方、基礎疾患のある方および発症後48時間以内の方は抗ウイルス薬の投与を検討します。
治療薬としてはタミフルを基本に吸入や点滴など様々な処方薬があります。タミフルが一番古く、薬価も安く、有効性が証明されており基本の処方となります。
また、2018年3月に新しくバロキサビルというこれまでの薬と薬の効き方が違う薬剤が発売され、タミフルと劣らないという研究結果も出ており使われることもあります。ただ、耐性ウイルスのリスクが指摘されています。
- タミフル(一般名:オセルタミビル) 内服薬で、1日2回5日間服用します。
- リレンザ(一般名:ザナミビル) 吸入薬で、1日2回5日間吸入します。
- イナビル(一般名:ラニナミビル) 吸入薬で、1回吸入します。
- ラピアクタ(一般名:ペラミビル) 点滴薬で、1回投与します。(重症や内服困難な方のみ)
- ゾフルーザ(一般名:バロキサビル)新規抗インフルエンザ薬で、1回の内服で治療可能、耐性リスク
インフルエンザの予防方法
- ワクチン接種:毎年の予防接種が最も効果的な予防策です。
- 手洗い・うがいの徹底:ウイルスの感染拡大を防ぐために重要。
- マスク着用:特に人混みではマスクを使用する。
- 規則正しい生活:十分な睡眠、バランスの良い食事、適度な運動で免疫力を維持する。
インフルエンザに感染した際に、発症を抑えたり、症状が重くなることや死亡することを予防する効果があるとされ、ワクチン接種は有効な予防です。
しかしワクチンを打っていても感染すれば発症する可能性があり、手洗いうがいやマスク、アルコール消毒など基本的な感染対策は重要です。
まとめ
インフルエンザは、毎年流行する急性呼吸器感染症であり、予防接種と基本的な感染予防が発症予防に対しては重要です。また、治療の第一は休養と対症療法です。また、抗ウイルス薬も症状の軽減に効果があります。
高齢者や基礎疾患のある方は特に注意し、息苦しい等ひどい症状を感じた場合は速やかに医療機関を受診を検討してください。
【注意】本記事は一般的な情報提供を目的としており、診断や治療の代わりとなるものではありません。必ず医師の診察を受け、適切な治療を受けることをおすすめします。