血圧には「上の血圧(収縮期血圧)」と「下の血圧(拡張期血圧)」があり、それぞれは心臓と血管の別々の状態を反映しています。どちらが高くなっても健康リスクにつながるため、まずは両者の違いを知ることが大切です。
これらについては実際に診察していても患者さんから聞かれることも多く、よく見る数字だけどしっかりは理解できていないそんな数字の意味について今回はご説明してみようと思います。
上の血圧(収縮期血圧)とは
上の血圧は、心臓がギュッと縮んで血液を体に送り出す瞬間の血圧です。心臓から血液が送り出されて、血管にもっとも強い圧力がかかるタイミングであり、「血管への負担」と深く関係しています。
収縮期血圧の高血圧の基準は診察室で140mmHg以上(自宅で135mmHg以上)、治療目標は診察室で130mmHg以下(125mmHg以下)です。
上の血圧が高くなりやすい理由として、代表的なのは動脈硬化と加齢です。血管が硬くなるほど、血液を押し出すときに内側から受ける抵抗が増えるため、自然と血圧が上がりやすくなります。これはフラミンガム研究という高血圧の治療の中で有名な研究でも示されています。
そのほか、塩分のとりすぎ、運動不足、睡眠不足、ストレス、睡眠時無呼吸症候群なども上の血圧上昇に関わります。
上の血圧が下がりにくい人の特徴
血圧の治療をしていても上の血圧が下がりにくい人には、次のような傾向があります。
- 朝の血圧が高い
- 動脈硬化のリスクがある(年齢、喫煙、脂質異常症など)
- いびきや日中の眠気があり、睡眠の質が良くない
- ストレスが多い
- 塩分摂取が多い
- 運動習慣が乏しい
特に40歳以降は、動脈が徐々に硬くなるため「上の血圧だけが高いタイプ」の方が増えてきます。
上の血圧を改善するための方法
塩分の摂取を減らすことはもっとも効果的とされています。目標は1日6g未満で、減塩による収縮期血圧の改善は複数のメタ解析で確かめられています(He et al., BMJ, 2013, DOI:10.1136/bmj.f1325)。
ウォーキングなどの有酸素運動を習慣にすることで、血管が広がりやすくなり、血圧の改善を期待できます。体重の適正化も重要で、体重が1kg減ると収縮期血圧が約1mmHg改善するという報告があります(Neter et al., Hypertension, 2003, DOI:10.1161/01.HYP.0000075790.33847.aa)。
朝の血圧が高く、いびきが強い場合は睡眠時無呼吸症候群が隠れている可能性もあります。当院でも簡易検査が可能です。
下の血圧(拡張期血圧)とは
下の血圧は、心臓が収縮した後にふたたび血液を貯める時期の血圧です。最低血圧ともいいます。これは心臓から出された圧を反映する収縮期血圧と違い、血管のしなやかさや末梢の血管抵抗など血管の状態を主に反映しています。
ストレスが強い、内臓脂肪が多い、睡眠不足が続いている、カフェインやアルコールの過量摂取などによって下の血圧が上がりやすくなります。高齢では血管のしなやかさが失われて、拡張期血圧は比して上がりにくくなるため、若い年代では下の血圧だけが高いタイプが比較的多いことが知られています。
下の血圧が下がりにくい人の特徴
下の血圧は次のような状態で上がりやすく、改善しにくいことがあります。
- 若年〜中年の男性
- 更年期付近の女性(エストロゲンの影響)
- 緊張しやすく、ストレスが多い
- 内臓脂肪が増えている
- カフェイン・アルコール摂取が多い
- 夜更かしが続き、睡眠が不十分
特に内臓脂肪が増えると、血管の抵抗が上がりやすく、拡張期血圧の上昇につながります。また、動脈硬化を反映してる可能性があり、下の血圧が高い場合も注意が必要です。
下の血圧を改善するための方法
下の血圧を整えるためには、内臓脂肪を減らすことや動脈硬化を防ぐために食事改善や運動習慣によって少しずつ腹囲が減ると、血管の抵抗が和らぎ、血圧も改善しやすくなります。
ストレス管理も重要で、短時間の深呼吸やリラックスできる時間を作ることで、自律神経の偏りが改善されます。カフェインやアルコールを摂りすぎている場合は量を見直しましょう。
また、高血圧の治療と同様に適度な有酸素運動と軽い筋力トレーニングの組み合わせも有効です。
どちらの血圧が高いと問題なのか
上の血圧も下の血圧も心血管病のリスクと関わりますが、40歳以上では特に「上の血圧が高いこと」がより強く予後と関連することが報告されています(Franklin et al., Circulation, 1999, DOI:10.1161/01.CIR.100.4.354)。
そのため中高年の方では、まず上の血圧を適正化することが特に重要とされています。
高血圧の改善方法は?
日本高血圧学会のガイドラインでも、生活習慣の改善は高血圧治療の基盤として位置づけられています。
重要なのは、次のポイントを確実に整えることです。
- 塩分を控える
- 適正体重を維持する
- 適度な運動
- アルコールのとりすぎに注意
- 質の良い睡眠
- ストレス管理
これらを整えることで、薬の効果も高まり、将来の心臓・腎臓・脳の病気の予防につながります。また、生活習慣の改善では改善なければ、内服での治療も考慮していきます。
血圧をしっかり下げたほうがいい理由は下記で説明しています。

まとめ
- 上の血圧は心臓が血液を押し出すときの圧
- 下の血圧は心臓が休んでいるときの圧
- 上が高い人は動脈硬化や塩分、睡眠の影響を受けやすい
- 下が高い人はストレスや内臓脂肪、生活リズムの影響が大きい
- どちらも生活習慣の改善がまずは治療の基本
血圧は毎日の生活習慣の積み重ねで変わっていきます。当院は静岡市にて内科外来および高血圧の治療を行っています。気になることがあれば、みどりのふきたクリニックへお気軽にご相談ください。
