日本人の方の多くが患う可能性がある高血圧。
しかし、血圧が高いと言われても、「まだ症状がないし、本当に治療が必要なのだろうか?」と感じる方は少なくないと思います。血圧が高くても症状があまりないため、治療をする理由が患者さんにとってはっきりしないのではないでしょうか。
しかし、高血圧は症状がないうちから治療が必要な病気です。
なぜなら、症状をとることが目的ではなく、高血圧による血管や心臓に負担による、重大な病気の発症の予防、コントロールすることが目的だからです。
この記事では、血圧を下げる理由のなぜ?をできるだけわかりやすく説明します。

血圧を下げる一番の目的は、将来の病気を防ぐこと
高血圧の治療は、痛みや不快感など、今ある症状を改善することだけが目的ではありません。
高血圧は自覚症状がほとんどないことが多い病気です。しかし、血圧が高い状態が長く続くと、心臓や血管、腎臓などに負担がかかり、脳卒中、心筋梗塞、心不全、慢性腎臓病などのリスクが高まります。
そのため、高血圧の治療で最も重要なのは、将来の重大な病気を予防し、健康な生活を長く続けられるようにすることです。
血圧が高い状態が続くと、血管の壁に強い力がかかり、動脈硬化などの血管障害が進みやすくなります。また、心臓にも負担がかかり、心肥大や心不全につながることがあります。
どのように防いでいくか?というと動脈の負担を減らし、血管を守ることで防いでいきます。
血圧が高い状態が続くと、血管の壁に常に強い力がかかり、ゆっくり傷んでいきます。これが進むと、血管の内側が硬くなる動脈硬化が起こりやすくなります。
動脈硬化 → 血流が悪くなる → 心臓・脳・腎臓の病気につながる
という経過で増悪していきます。そして血圧を下げコントロールすることは、この負の連鎖を止める大切な役割があり動脈硬化の進行を防ぎさらにはその先の大病を防ぎます。
ではどのような血圧を10mmHg下げると、病気を予防できるとされているでしょうか?
血圧を10mmHg下げると、どのくらい病気を予防できる?
血圧を下げることによって、将来の病気がどの程度減るのかは、多くの臨床研究で検証されています。
例えば、収縮期血圧(上の血圧)を約10mmHg下げることで、脳卒中のリスクは約27%、心不全のリスクは約28%低下することが報告されています。
つまり、血圧の治療は単に数字を良くするためではなく、脳卒中や心不全などの重大な病気を予防する効果が科学的に示されている治療なのです。
ただし、これは多くの患者さんを対象とした研究で得られた平均的な相対リスク低下であり、個人のリスクや治療効果は年齢、血圧、合併症などによって異なります。
Ettehad D, et al. Lancet. 2016;387:957–967.
脳卒中(脳梗塞・脳出血)
高血圧は脳卒中の最大の危険因子です。
血圧を10mmHg下げるだけでも、脳卒中の発症リスクは大きく下がると報告されています。
「脳梗塞や脳出血を防ぐために血圧を下げる」というのは医学的根拠が非常に確立しています。
心不全・心筋梗塞
高い血圧は心臓に「押し戻す力」が増えるため、心臓が強く働かないと血液を送れません。
それらがつづくことで、心臓に負担がかかり、心肥大や心不全につながることがあります
- 心臓が弱る → 心不全
- 冠動脈が傷む → 心筋梗塞
血圧を適切に下げることで、これらの病気の発症リスクを減らせることが、多くの臨床研究で示されています。
腎臓の保護(腎機能低下の進行を抑える)
腎臓には細い血管が多く集まっており、高血圧による影響を受けやすい臓器の一つです。
高血圧が長期間続くと、腎臓の血管に負担がかかり、腎機能の低下につながることがあります。特に蛋白尿を伴う慢性腎臓病では、適切な血圧管理が腎機能低下の進行を抑えるために重要です。
そのため、高血圧の方では血液検査による腎機能の確認に加えて、尿検査で蛋白尿の有無を調べることも大切です。高血圧の方では、血液検査による腎機能の確認に加えて、尿検査で蛋白尿の有無を調べることも大切です。

症状がなくても治療が必要な理由
高血圧は多くの場合、無症状のまま進むサイレントキラーと呼ばれます。
「頭痛がないから大丈夫」「日常生活に問題がない」と感じても、体の中の血管では、高血圧によりゆっくりと変化が進んでいることがあります。
その結果、脳卒中や心筋梗塞を起こってしまうと生活に大きな影響が残ることがあります。
そのため治療の焦点は、起こってから対処するのではなく、健康な今のうちに将来のリスクを減らすことにあります。
血圧でのダメージは蓄積していくため、40〜50代以降など年齢が上がる場合は病気のリスクが高くなります。
静岡市の健診などで血圧が高めと言われた方は、早めにライフスタイルの見直しを始めることが大切です。
血圧の治療目標は?
高血圧治療における基本的な降圧目標は2025年の日本高血圧学会ガイドラインでは、原則として次の降圧目標が示されています。
診察室血圧:130/80mmHg未満
家庭血圧:125/75mmHg未満
*患者さんの年齢・体調・副作用などを考慮して、個別に調整します。
これらの降圧目標は、心血管疾患の発症予防に関するさまざまな臨床研究の結果を踏まえて設定されています。
ただし、すべての方に同じ目標を機械的に当てはめるのではなく、年齢や身体の状態、副作用などを考慮して治療を調整します。

血圧は低ければ低いほどよいの?
血圧を適切に下げることは重要ですが、無理に下げればよいわけではありません。
降圧薬によって、めまい、ふらつき、立ちくらみ、腎機能の変化などが起こることがあります。
特に高齢の方や起立性低血圧がある方では、症状や身体の状態を確認しながら、無理のないペースで血圧を調整することが大切です。
血圧を下げるためにできることは?
当院では、すべての高血圧患者さんに生活習慣の改善を大切にしていただいています。
血圧の程度や心血管疾患のリスクによっては、生活習慣の改善と同時に薬物療法を開始することもあります。患者さん一人ひとりの状態に合わせて、適切な治療をご提案します。
生活習慣はなにをすればいい?
生活習慣の改善はガイドラインでは下記の様なことが推奨されています。
- 食塩を控える(目安は1日6g未満)
- 野菜を意識して増やす
- 体重のコントロール、カロリーを摂り過ぎない
- 1日30分の軽い運動を行う。
- お酒は控えめに
- 禁煙を行う
などがあります。特に減塩は、高血圧の生活習慣改善において重要な取り組みの一つです。 日本人は食塩摂取量が多い傾向にあるため、まずは日々の食事で塩分を減らすことから始めてみましょう。
また、これらの改善はどれも、血圧だけでなく、コレステロールなど全身の健康にも良い影響がありどんな方でも気を付けてみると良いことだと思います。
自分だけでは実施できない、詳しく情報を得ながら改善をしたいという方は、CureAppという生活習慣改善アプリを用いた血圧の治療も行うことができます。(6ヶ月間のプログラム)こちらの方法も保険適用されています。

当院で行っているサポートは?
みどりのふきたクリニックでは、
- 血圧の測り方のアドバイス
- 生活習慣の相談
- 必要に応じて薬による治療
を組み合わせ、患者さん一人ひとりに合わせた治療を行っています。
薬はできれば飲みたくないという患者さんのお気持ちも大切にしており、血圧の水準によってはまずは生活習慣で改善できる部分を一緒に探しながら、無理のない血圧管理を目指します。
ただ、リスクや状況によって必要とあれば投薬での治療も検討し、しっかりとしたリスクの低下を目的とした治療を行います。
まとめ
今回は、なぜ血圧を下げる必要があるのかについて解説しました。
血圧を下げる目的は、「今より良くなること」ではなく、「先々の病気を防ぐこと」です。
症状がなくてもコツコツ対策を続けることで、10年後・20年後の健康が大きく変わります。血圧が気になる方は、いつでもお気軽にご相談ください。
静岡市で高血圧と言われた方
血圧が高いといわれた方は、お気軽にご相談ください。症状がなくても、どのような治療(生活習慣の改善、内服治療など)かを含めて早めの評価を受けましょう。
参考文献
- 日本心臓財団HP
- 高血圧ガイドライン2019
- https://.ncvc.go.jp/hospital/pub/knowledge/disease/hypertension-2/
- https://j-circ-assoc.or.jp/learn/57/
- Ettehad D, et al. Lancet. 2016;387:957–967.
