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脂肪肝と言われた方にまずは気をつけてみてほしいこと

脂肪肝は、自覚症状がほとんどないまま進行し、肝炎や線維化に進むことがあります。
ただし、多くのケースでは生活習慣を整えることで改善が期待できます。国内外のガイドラインでも、治療の中心は生活改善であり、薬物治療は補助的な位置づけとされています

今日から気をつけたい生活習慣と薬物療法についてこの記事ではご説明していきます。

脂肪肝の治療はどんなものがあるのか

脂肪肝の治療としては生活習慣の改善が大切です。なぜなら生活習慣の改善の改善なければ原因を断つことができず根本的な解決とはならないからです。

そして、どうしたらいいか?というと簡単にいうと体重を減らすことが治療として有益です。

その理由は下でも述べていますが、体重減少で脂肪肝が改善するというデータがあるということと、脂肪肝だけで現在日本の保険システムで使用できるお薬がないことも理由です。

具体的に気をつけてもらいたいこととしては下記の通りです。

①体重を5〜10%減らすことで肝臓の状態が改善する

また、お酒を飲む人の中でもいわゆる生活習慣病としての脂肪肝も併発している人もいます。

代謝機能障害関連脂肪肝疾患(MASLD)では、複数の臨床研究で、体重が5%減ると肝臓にたまる脂肪が減り、7〜10%まで減ると炎症や線維化の改善が報告されています。そのため、ガイドラインでも体重減少が治療として推奨されています。

体格に関わらず、数キロの減量でも検査値が改善することは珍しくありません。脂肪肝が指摘された方はまずは体重を5%落とすこと、できれば10%落とすことを目標に定めると良いでしょう。

②お酒を飲む人はお酒の量を減らす

まずは脂肪肝にはお酒を飲む人と飲まない人で医学的には区別があります。具体的には男性で1日30g以上、女性で20g以上の飲酒量がある方は、アルコール性肝障害となります。

お酒をこの基準より飲む人で、脂肪肝を指摘された方はまずは飲酒量を減らす、休肝日をつくるなどの生活習慣の改善が大切です。

③食事を気をつける

食事についても気をつけることが大切です。

カロリーを減らす

カロリー過多は脂肪肝が悪くなることが知られており、まずは摂取カロリーを減らすことを目指しましょう。

甘い飲み物は肝臓の脂肪が増えやすい

糖尿病はもっとも脂肪肝に関連する生活習慣病とされ、糖尿病と脂肪肝の関連は強いです。

また、最近の研究では、果糖は肝臓で脂肪に変わりやすく、ジュースや炭酸飲料などの飲み物に注意が必要です。

炭水化物と脂質の偏りを整える

炭水化物や、揚げ物、ラーメン、菓子類などの脂肪がおおい食事は脂肪肝を悪くするとされています。そのため、カロリー摂取量に気をつけつつ、炭水化物と脂質を減らすことを目指しましょう

④運動をする

脂肪肝に関しては運動療法についてもしっかりと効果が証明されています。仮に体重が減らなくても肝脂肪が減ります。

効果が証明されているものしては、速歩きなどの有酸素運動を1回30程度、週3〜4回であれば、体重減少が伴わなくても脂肪肝の改善効果があると示されています。

また、有酸素運動だけではなく、スクワットや椅子立ち上がりを中心とした筋トレ(レジスタンス運度)も有効とされてます。たとえば10〜15分、週2〜3回程度などでも無理のない範囲で続けることが最も重要です。

それでも改善が難しい場合の内服治療について

現在、日本では脂肪肝そのものに対する単独の保険適応薬はないのが現状です。

脂肪肝(MASLD/MASH)に対する専用の治療薬、現在の日本では単独での保険適応がなく、治療の基本は生活習慣の改善となっています。

ただし、脂肪肝の背景にある病態(糖代謝異常や肥満、脂質異常)に対する薬剤には、脂肪肝の改善が期待できるエビデンスがいくつかあります。
しかし、保険適応がないため、いずれも「脂肪肝の治療薬」としての適応ではなく、あくまで基礎疾患の治療の一環として使用されます。

エビデンスがある薬剤(適応疾患を持つ方に限り使用)について紹介

GLP-1受容体作動薬(糖尿病薬)

糖尿病治療薬として使用され、体重減少や肝脂肪減少の効果が報告されています。最近は肥満症に対する適応(かなり限られた方)もでてくるなど体重も減らすことができるお薬です。

適応:2型糖尿病、肥満など※脂肪肝単独では保険適応なし。

SGLT2阻害薬(糖尿病薬)

糖尿病治療薬として、体重・血糖の改善に伴う肝脂肪の減少が報告されています。SGLT2阻害薬は心不全や蛋白尿を伴う慢性腎不全にも使用される薬剤です。

ビタミンE

非糖尿病のMASH患者で炎症改善の報告がありますが、副作用の議論もあり慎重な使用が必要です。

ピオグリタゾン(糖尿病薬)

この薬剤は脂肪細胞などに作用してインスリン抵抗性を改善し、コレステロールや肝臓の炎症改善の報告があります。糖尿病を合併している場合には使用されることもあります。

スタチン製剤やフィブラート(脂質異常症)

スタチン製剤やフィブラートはコレステロールが高い方に使われる薬剤です。高コレステロールを合併している場合には、脂肪肝の改善がある可能性が示唆されています。

ARB、ACE阻害薬(高血圧)

これらは高血圧の治療として使用される薬剤です。これらも研究で肝臓の繊維化の抑制の効果が示唆されており、高血圧を合併している場合には考慮されます。

まとめ

脂肪肝改善の基本は生活習慣であり、次のポイントが特に重要です。

  • カロリー量を抑える
  • 体重を5〜10%減らすことを目標に
  • タンパク質と脂質の調整
  • アルコールを控える
  • 運動を週150分または筋トレを定期的に

脂肪肝は症状がなく、あまり治療に対して積極的になれない病気ではありますが、放置すると肝臓が悪くなる肝硬変や肝臓がんへと進行する場合があり注意が必要な疾患です。

薬物療法は、脂肪肝自体の保険適応はありませんが、背景疾患の治療薬の中には改善効果が認められているものがあります。まずは体重の減少をベースに上のようなポイントを参考にして生活習慣の改善を頑張っていくことをおすすめします。

当院では栄養士の先生による栄養指導も行っており、自分だけでは難しい方でも取り組みやすいと考えます。脂肪肝が毎年言われるけど、改善が難しい方などは、ぜひ栄養指導も検討してみるようにすることをお勧めします。

当院は肝障害の現状の評価や治療、栄養士の先生による栄養指導なども行っております。

みどりのふきたクリニック

診療科目循環器内科、消化器内科、内科、訪問診療
場所静岡市葵区大岩町4-23 
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