胃カメラ検査のご案内

胃カメラ検査(上部消化管内視鏡)

胃カメラ検査とは、内視鏡と呼ばれるカメラを使って、食道、胃、十二指腸の一部を観察し、癌や潰瘍などの病気がないかを調べる検査です。

日本人はピロリ菌の感染が多いことから、胃がんの発生が多く、検診としても重要な検査です。

胃カメラの目的

一番の目的は胃がんや食道がんを早期に見つけ、治療に繋げることです。現在は胃がんや食道がんも早期に発見することができれば、内視鏡での治療を行うことができ、外科的手術でお腹を切らずに治すことができます。

そのため症状がない早期の段階で見つけることが大切です。

また、胃の不調や貧血といった症状から大きな病気の発見につながる場合があり、検査を行うことがあります。

胃カメラが必要な症状

  • 胃がん検診(検診の場合)
  • 黒色便や吐血など出血症状がある
  • 貧血がある
  • 胃が痛いなどお腹の症状がある
  • 食欲が下がった
  • 胸焼けがする
  • ピロリ菌の除菌治療を行った胃炎がある
  • ピロリ菌がいる可能性がある検査結果だった

です。胃の症状がある場合貧血がある場合には検査を患者さんの状況や症状を考慮して、検討します。(下で述べるようなリスクのある検査なので全員に勧めることはしません)

また、ピロリ菌の治療を行う場合は事前に胃カメラを行う必要があります。また、ピロリ菌の除菌が終了した方でも、胃がんのリスクが存在しているため、定期的な胃カメラが推奨されます。

50歳以上の静岡市在住の方は、静岡市の胃がん検診があり、2年に一度検査を受けることができます。

胃カメラのメリットとデメリット

胃カメラ検査のメリットもあれば、デメリットもあります。

胃カメラのメリット

  • 早期の胃がんや小さな異常も発見しやすい
  • 病変の組織を採取(生検)でき、病理検査が可能
  • ピロリ菌感染の有無も確認できる
  • 必要に応じてポリープの切除や出血部位の治療ができる
  • 詳細な画像で正確な診断ができる

胃カメラのメリットは、内視鏡での治療の適応になるような早期の胃がんを発見できること、その場で病理検査(精密検査)を行うことが可能です。

胃カメラのデメリット

嘔吐反射(オエッとなる反応)が強い人にはつらいことがある
鎮静剤を使用する場合は、検査後しばらく安静が必要
バリウム検査よりも費用が高い(保険適用時:約3,000~10,000円)
医師の技術により検査の精度が左右される

胃カメラ検査のデメリットとしては、多少なりとも辛い可能性があることです。ただ、消化器内科医としては検査と診断が同時にでき、かつ直接胃の壁を観察できるため、バリウムなどの他の検査より精度も高いため、重要な検査と考えています。

胃カメラの検査のリスクや副作用

  • 内視鏡挿入による穿孔、出血のリスク
  • 検査後にお腹が張る
  • 挿入した鼻や喉に違和感が残る

胃カメラ検査は現在多くの病院で検診で行われており、かなり安全性が高い検査です。しかし、直接胃にカメラを挿入するため、十分に注意していても合併症(穿孔や出血)は少ない確立ですが避けられません。具体的には1万人〜2万人に1人の割合と言われています。

また、検査の際に胃のなかを観察するために、ガスを挿入するために検査後にガスによる不快感が残ったり、喉の違和感や鼻の違和感が残る方がいます。

胃カメラの検査の流れ

胃カメラの検査の当日の流れです。胃カメラは事前に診察させていただき、必要性の判断をしてから後日予定させていただいています。(*アニサキス症など緊急で必要と判断した場合は除きます)

鎮静をしない場合

STEP
胃の泡を消す薬を内服(紙コップ1杯程度)

まずガスコン+プロテアーゼ+炭酸水素ナトリウム(重曹)をぬるま湯で溶かしたものを服用していただきます。

これを事前に飲むことで胃の中の泡を消して、検査時間の短縮や見やすくなり精度があがります。

STEP
鼻に鼻の通りをよくする薬を入れる

血管収縮薬を鼻に噴霧してカメラがとおるために鼻を広げます。カメラが通りやすくなります。

STEP
検査をする鼻を決める

右、左でどちらの鼻が通りやすそうか、鼻の穴を押さえて空気が通りやすい方を確認し右か左どちらでやるか決定します。

STEP
検査する鼻に麻酔薬を入れる

検査をする鼻を決定したら、その鼻にキシロカインという麻酔薬の液体をゆっくりと流し込みます。喉まできたら飲み込んでもらいます(難しければ出してもらいます)

STEP
スティック1本目を入れる

カメラを入れる鼻にスティックを入れてさらに麻酔を行います。まずは14Frという太さのスティックを入れます。

STEP
スティック2本目に交換する

その後16Frと少し太い(カメラと同じ太さ)のスティックに交換します。これにより検査の準備は終了です。

↓実際のカメラの太さ

STEP
検査へ

スティックが無事入ればそのまま検査まで入れておき、抜いて検査を開始します。スティックが入らなかった方は直接カメラで挿入ルートを確認しながら入れていきます。

STEP
胃カメラ検査後

胃カメラの検査が終了したら椅子に移動いただき検査結果をその場で医師より説明させていただきます。

ご不明点などあればしっかりと対応させていただきます。

生検検査を行った場合は、後日外来にて病理検査の結果の説明をするため、予約を取らせていただきます。

麻酔なしでもできるだけ楽に受けられるように心がけて検査を行います。楽に受けられるコツは下の記事で説明しています。

鎮静を行う場合

それでもご不安な場合は、鎮静薬を使用して少しボートして検査を行うこともできます。

鎮静を行う場合は下記の手順で行います。

STEP
胃の泡を消す薬を内服(紙コップ1杯程度)

まずガスコン+プロテアーゼ+炭酸水素ナトリウム(重曹)をぬるま湯で溶かしたものを服用していただきます。

これを事前に飲むことで胃の中の泡を消して、検査時間の短縮や見やすくなり精度があがります。

STEP
点滴を行います

鎮静薬を入れるための点滴を入れます。鎮静薬を落とす場合は、血圧に変動が出る場合があるため、まずは細胞外液という点滴を始めます。

STEP
検査台で横になり、モニターをつける

鎮静薬を使用する場合は、血圧や酸素の値に変動が出ます。そのため、検査中に常に患者さんの状態を確認できるようにするために、酸素モニターや血圧モニター、心電図モニターなどをつけます。

検査中は3分に1回のペースで血圧を測定します。

STEP
点滴から麻酔薬を入れる

点滴から患者さんの年齢や体格に合わせて医師が量を調整して鎮静薬を投与します。

効き過ぎることを防止するため、少量から投与し、副作用が出ずにボーとすることができる量に調整します。

一部の患者さんは麻酔が効きにくい方がおり、体の危険になる量は投与できず、あまり寝られないことがごく稀にあります。

STEP
薬の効きを確認し内視鏡開始

胃カメラの検査を開始します。検査時間は7分程度です。

STEP
検査終了後はベットで1時間ほど休む

検査終了後はベットでモニターを付けながら1時間ほど休んでいただきます。お薬の効きが切れた頃に診察室にて結果の説明を行い、帰宅となります。お疲れ様でした。

胃カメラの検査の費用の目安

検査の費用は 

検査内容1割負担3割負担
胃カメラのみ1,500円程度4,500円程度
胃カメラ+生検2,600円〜3,500円程度
(個数によります)
8, 000円~10, 000程度
(個数によります)
胃カメラ+ピロリ検査2,000〜2,500円程度6,000円程度
胃カメラ(静岡市の検診)3,000円(70歳以上は無料)3,000円(70歳以上は無料)

です。また、静岡市の検診は金額が固定で、70歳以上は費用がかかりませんが、生検を行った場合は、保険診療となるため、費用が発生しますのでご注意ください。

胃カメラ検査についての注意事項

飲食について: 検査の前には、指示された時間内の飲食をお控えください。(基本的には前日21時までは食事ok)具体的な指示がある場合は、事前にご案内いたします。

持ち物: 健康保険証やお薬手帳(持っている場合)をお持ちください。問診表、同意書をお渡ししている場合は持参ください。

その他、検査、処置についてご不明点があれば診察時にお申し付けください。