胆管炎
胆管炎(たんかんえん)とは、胆汁の通り道である胆管に炎症が起こる病気です。
胆管が細菌感染や胆石によって詰まることで発症します。重症化すると敗血症を引き起こし、命に関わることもあるため、早期の診断と治療が重要です。
胆管炎の原因
胆管炎の主な原因は以下の通りです。
✅ 胆石(胆管に詰まり、胆汁の流れを妨げる)
✅ 胆道狭窄(がんや手術後の瘢痕による胆管の狭窄)
✅ 胆道ステントの感染(胆道ドレナージ処置後の感染)
✅ 寄生虫感染(まれに胆管内で寄生虫が増殖)
✅ 免疫異常(原発性硬化性胆管炎など)
ほとんどの原因は胆石によるものです。胆石が胆管に落ちると総胆管結石といい、その石により胆汁の流れが滞る(淀む)と感染が引き起こされ胆管炎となります。
川と水溜をイメージしてもらえばわかりやすいと思いますが、同じ水でも流れがあるところは汚れにくく、流れが滞ると澱むのと同じです。
石以外にも胆管内の胆汁の流れが阻害されると原因となりえます。
胆管炎の症状
✅ 発熱・悪寒(高熱を伴うことが多い)
✅ 黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)
✅ 右上腹部の痛み(胆のうや胆管の炎症による)
✅ 吐き気・嘔吐
✅ 全身の倦怠感(感染が進行すると重症化)
胆管炎の症状のイメージは、黄疸(目の白目が黄色くなる)が出て、38℃を超える発熱があり、心窩部(胃のあたり)が痛く、ガタガタ震えます。
胆嚢炎と同じような場所の炎症ですが、症状の特徴が違い、こちらの方がより重症です。
特にガタガタ震える(悪寒戦慄)場合には菌血症と言って血液内に菌が入った状態が疑われ胆管炎に限らず注意が必要です。
胆管炎の診断方法
胆管炎が疑われる場合、以下の検査を行います。
- 問診と診察(診察で痛みの部位を確認、黄疸の有無を確認します)
- 血液検査(炎症反応や肝機能異常を確認)
- 超音波検査(エコー)(胆石や胆管の拡張を調べる)
- CT・MRI検査(胆管の詰まりや炎症の程度を詳しく評価)
- 内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)(胆管内の異常を直接確認し、治療も行う)
胆管炎は診察と問診で可能性が高いかどうかがわかります。胆管炎を疑うような場合には、採血検査で肝臓の数字の上昇を見たり、エコーで胆管の詰まりを見ることでより診断に近づきます。
胆管炎の可能性が高ければ基本的には入院治療となるため、総合病院へ紹介させていただき、そこでCT、MRI、内視鏡検査を受けることになります。
胆管炎の治療方法
胆管炎の治療は、感染を抑え、胆汁の流れを改善することが目的です。
抗菌薬治療
- 細菌感染を抑えるための抗菌薬投与(点滴で行うことが多い)
胆管炎は菌による感染症であるため、抗菌薬の投与は重要です。しかし、抗菌薬治療だけだで原因の治療ができないと改善が難しい場合も多く、下記にあるように胆汁の流れを改善する治療と併用します。
胆汁の流れを回復させる治療
- 内視鏡的胆道ドレナージ(ERCP)(胆石の除去やステント留置による胆汁の流れの改善)
- 経皮経肝的胆管ドレナージ(PTBD)(外科的に胆汁を体外に排出する処置)
- 胆嚢摘出手術(胆石が原因の場合、根本的な治療として行われることがある)
胆汁の詰まりによる胆管炎の場合はその流れを改善させることが治療の本元です。流れを改善することをドレナージとよび、内視鏡で行う場合がほとんどですが、難しい場合は体の外からエコーを見ながら胆管に向かって管をさして行う(PTBD)という治療もあります。
胆石が原因となっていた場合には、胆管炎の治療後に胆嚢摘出術を検討します。
まとめ
胆管炎は、胆石や細菌感染が原因で発症し、発熱・黄疸・腹痛が特徴的な症状です。
放置すると敗血症などの重篤な合併症を引き起こす可能性があるため、早期診断と治療が重要です。違和感を感じたら、すぐに医療機関を受診しましょう。
【注意】 本記事は一般的な情報提供を目的としており、診断や治療の代わりとなるものではありません。必ず医師の診察を受け、適切な治療を受けることをおすすめします。