総胆管結石とは
総胆管結石(そうたんかんけっせき)とは、肝臓と十二指腸をつなぐ「総胆管」に胆石が詰まる病気です。
よく聞く胆石は胆汁の成分が固まったもので、ある場所が違います。
総胆管結石の多くの場合、胆嚢にできる「胆嚢結石」が総胆管に移動して発生します。総胆管に結石が詰まると胆汁の流れが悪くなり、炎症や感染を引き起こすことがあります。
総胆管結石の原因とリスク要因
✅ 胆嚢結石が総胆管へ流れる(胆嚢に胆石があると総胆管結石のリスクが高い)
✅ 胆汁の流れが悪くなる疾患(胆管の狭窄や憩室など流れに異常がある)
✅ 高脂肪・高コレステロールの食事(脂質異常症がある人)
✅ 肥満・糖尿病(胆石のリスクが高まる)
✅ 加齢(中高年以降に発症しやすい)
胆石ができやすい人の特徴は「5F」と言われ、女性(Female)、高齢(Forty)、肥満(Fatty)、白人(Fair)、妊娠、出産(Fertile)があります。そのほか脂質異常症がある人、胃がんなどの手術を受けた人はできやすいとされています。
反面、野菜、ナッツ、カフェイン(コーヒー)の摂取や運動(ジョギングや自転車など)はリスクを下げるとされています。
また、総胆管結石の多くは胆嚢結石(胆石)が胆管に落ちたものです。
総胆管結石の症状
結石が小さい場合、無症状のこともあります。しかし、石が詰まると胆石と違い症状を起こすことが多いです。症状としては以下が現れることが多いです。
✅ 右上腹部の激しい痛み(胆石発作)
✅ 黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)
✅ 発熱や悪寒(感染を伴う場合)
✅ 吐き気・嘔吐
✅ 白っぽい便(胆汁の流れが悪くなるため)
総胆管結石と胆石の症状の違いは黄疸の有無と採血検査での肝臓のダメージ(肝障害)です。
また、それぞれ進行すると総胆管結石性胆管炎、胆嚢炎になりますが、胆管炎の方が重篤で高熱が出て、ガタガタ震えます。
腹痛は比較的強くでますが、高齢の方は腹痛がなく嘔吐だけで受診される方もいらっしゃいます。
総胆管結石の診断方法
総胆管結石の診断には、以下のような検査が行われます。
- 問診、および診察(総胆管結石に特徴的な腹痛かどうかなど)
- 血液検査(炎症や胆道の異常をチェック)
- 超音波(エコー)検査(胆管の拡張や結石の有無を確認)
- CT・MRI検査(結石の正確な位置を特定)
- 内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)(結石の確認と同時に治療も可能)
まずは診察と問診で、胆管結石らしいか調べます。典型的には心窩部(胃のあたり)〜右の季肋部(脇腹の肋骨の下あたり)が痛くなります。
さらに上でも述べたように総胆管結石では肝臓のダメージが出るため採血は有効です。また、胆管の流れが滞るため、胆管が太くなるため腹部エコーやCTでも評価ができます。
それらを総合して診断を行います。
総胆管結石の治療方法
総胆管結石が診断された場合はクリニックで治療することは基本的にはできず、総合病院へ速やかに紹介して入院の治療が行われます。
内視鏡治療(ERCP)
- 内視鏡を使い、胆管内の結石を取り除く
- 胆管の狭窄がある場合、ステントを留置して胆汁の流れを改善
総胆管結石の基本的な治療は入院しての内視鏡治療です。(ERCP)これにより、チューブを入れて詰まりをとったり、石を摘出したりします。
ちなみに、よく患者さんに「石って取れたら貰えますか?」と聞かれますが、摘出した石は腸に置いてくるため、回収できず記念に貰うことはできません。
外科的治療
- 胆嚢摘出術(胆嚢結石が原因の場合、胆嚢ごと摘出することが一般的)
- 開腹・腹腔鏡手術(結石が大きい場合や胆管が狭い場合)
内視鏡での治療が困難な場合や、胆嚢の石も合わさってる場合には手術で治療するケースもありますが、まれです。
薬物療法
- 胆石溶解薬(胆石を溶かす薬だが、効果は限定的)
- 抗生物質(感染がある場合)
石自体は薬で溶けることは基本的にありません。感染症を伴う場合には抗生剤治療で炎症をまずは取ります。
総胆管結石の予防方法
✅ 脂肪分の多い食事を控える
✅ 適度な運動を行う(肥満を防ぐ)
✅ 水分をしっかり摂取する
✅ 胆嚢結石がある場合は定期検診を受ける
✅ 適切なコレステロール管理(食生活の改善)
総胆管結石の予防はあまり有効なものはありませんが、あえていうなら胆石が出来にくい生活習慣を心がけましょう。
まとめ
総胆管結石は、胆石が総胆管に詰まり、胆汁の流れを妨げることで様々な症状を引き起こします。
放置すると感染や胆管炎を引き起こすことがあるため、早期発見と適切な治療が重要です。特に黄疸は注意が必要な症状です。
胆嚢結石のある方は、定期的に検診を受け、症状が現れた場合は速やかに医療機関を受診しましょう。
【注意】 本記事は一般的な情報提供を目的としており、診断や治療の代わりとなるものではありません。必ず医師の診察を受け、適切な治療を受けることをおすすめします。