膵癌
膵癌(すいがん)は、膵臓に発生する悪性腫瘍の一種で、進行が早く、早期発見が難しい病気です。
膵臓は消化酵素を分泌する外分泌腺と、血糖を調整するホルモンを分泌する内分泌腺を持つ臓器であり、ここに発生するがんは早期には症状がほとんどないため、発見時には進行していることが多いのが特徴です。
膵癌の原因とリスク要因
膵癌の原因は完全には解明されていませんが、以下のような要因がリスクを高めると考えられています。
✅ 喫煙(発症リスクが2倍以上に)
✅ 慢性膵炎(長期間にわたる膵炎の炎症が発がんリスクを高める)
✅ 糖尿病(糖尿病のある人は発症リスクが高い)
✅ 家族歴(膵癌の家族歴がある場合、遺伝的要因が関与する可能性)
✅ 肥満・高脂肪食(食生活の影響が指摘されている)
✅ 加齢(膵癌は高齢者に多くみられる)
膵臓癌はまず、膵臓癌の家族にいると、リスクが2倍以上となります。また、糖尿病、喫煙
膵癌の症状
初期の膵癌はほとんど症状がありません。しかし、病状が進行すると以下のような症状が現れます。
✅ 黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)
✅ 体重減少・食欲不振
✅ 腹痛・背中の痛み
✅ 消化不良や下痢
✅ 糖尿病の急激な悪化
✅ 便の色が白っぽくなる(胆汁の流れが悪くなるため)
膵臓癌の症状は体重減少、背中の痛み(背部痛)、黄疸などです。また、糖尿病の急激な悪化も兆候として出ることもあり、そういう場合には画像の検査をすることも検討します。
膵癌の診断方法
膵癌の診断には、以下のような検査が行われます。
- 血液検査(腫瘍マーカー:CA19-9、CEAなど)
- 超音波検査(エコー)(膵臓の異常を確認)
- CT・MRI検査(膵癌の大きさや周囲への広がりを評価)
- 内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)(胆管や膵管の閉塞の有無を調べる)
- 内視鏡的超音波検査(EUS)(詳細な画像を取得)
- EUS下生検(組織を採取し、がん細胞の有無を確認)
膵臓癌の診断は進行しなければ非常に難しく、進行も早いため、一般的な定期の採血などでは難しい場合が多く、疑って検査をしなければなりません。
検査としては、採血では特殊な採血(腫瘍マーカー)、腹部エコーやCT、MRIでの画像検査があります。
腹部エコーはその場でできる簡便な検査ですが、膵臓全ても見ることが難しい検査で、CTでは小さい膵臓癌は上手くうつらない可能性もあり、組み合わせて行うこともあります。
膵癌の治療方法
膵癌の治療は、がんの進行度に応じて異なります。
手術療法
- 膵頭十二指腸切除術(膵頭部に発生した場合)
- 膵体尾部切除術(膵臓の中央部や尾部に発生した場合)
- 膵全摘術(膵全体に広がっている場合)
まず可能であれ手術で癌をとり、完治を目指します。手術に先立って抗がん剤治療を行い縮小させてから手術を行う(NAC)場合もあり、スタンダードになりつつあります。
化学療法(抗がん剤治療)
- 手術後の再発予防や、手術が難しい進行癌に対する治療として実施
- ゲムシタビンやFOLFIRINOXなどの薬剤を使用
化学療法としては、ゲムシタビンやオキサリプラチン、イリノテカン等での治療を行います。初回は入院ですが、2回目以降は外来で行うことが多く、働きながら行う方もいます。
放射線療法
- 手術ができない場合や、症状緩和のために実施されることがある
治療として行われる場合があります。
緩和ケア
- 進行がんで根治が難しい場合、患者のQOL(生活の質)を維持するための治療
- 疼痛管理、栄養管理、黄疸の緩和などを行う
膵臓癌は非常に進行が早く、治療が困難になったり、苦痛が強くなったりする場合があり、早期から緩和ケアも併用して行います。
膵癌の予防方法
✅ 禁煙を心がける(喫煙は膵癌の主要なリスク要因)
✅ バランスの良い食事を取る(高脂肪・高カロリー食を控える)
✅ 適度な運動を行う(肥満を防ぎ、血糖値を管理)
✅ 定期的な健康診断を受ける(リスクがある場合は早期発見のための検査を推奨)
✅ 過度な飲酒を控える
膵臓癌の予防、早期発見は非常に難しい課題ですが、まずはリスクとなりうることを防ぎ、定期的な検査を受けることが勧められます。
膵のう胞がある、家族に膵癌の方がいるなど普通の方よりリスクが高い方は、よりしっかりと検査を受ける事も検討してください。
まとめ
膵癌は発見が遅れやすく、進行が早い病気ですが、早期発見・早期治療が重要です。特に、家族歴がある方やリスク要因を持つ方は、定期的な健康診断や画像検査を受けることをおすすめします。気になる症状がある場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。
【注意】 本記事は一般的な情報提供を目的としており、診断や治療の代わりとなるものではありません。必ず医師の診察を受け、適切な治療を受けることをおすすめします。