血圧が高い?それ、塩のせいかもしれません──気軽にできる減塩生活

「最近、血圧が高めだと言われた」「健康診断で再検査になった」

そんな方に、まず見直してほしいのが“塩分”のとり方です。私たち日本人の食生活は、知らず知らずのうちに塩分をとりすぎてしまいがち。味噌汁、漬物、麺類……どれも日常的な食事なのに、実は血圧にじわじわと影響を与えているかもしれません。

高血圧は放っておくと、心臓病や脳卒中など重大な病気のリスクを高めることが知られています。でもご安心ください。特別な道具や高価な食材がなくても、少しの工夫で「減塩生活」は無理なく始められます。

この記事では、医学的な根拠に基づきながら、今日からできる簡単な減塩のコツをご紹介します。

塩を減らす」と聞くと、味気なくなるのでは?と思う方もいるかもしれませんが、そんな不安もひとつずつ解消していきましょう。

なぜ減塩が大事なのか

まずはなぜ減塩が大切なのかについてあらためてご説明します。簡単に言うとそれは高血圧との関係性が言われているからです。

高血圧と塩分の関係は?

多くの研究で、塩分の摂取量が多いと血圧が上昇することが分かっています。特に、ナトリウム感受性が高い人(高齢者、腎機能が低下している人、糖尿病患者など)は、少しの塩分でも血圧が上がりやすいことが知られています。

そのため、日本の高血圧のガイドラインをはじめ、さまざまな国のガイドラインで高血圧の患者さんには減塩の治療をすすめることが推奨されています。減塩で期待される健康効果は下記のようなものがあります。

  • 血圧の低下
  • 脳卒中、心筋梗塞のリスク低下
  • 心不全、腎臓病の進行予防
  • むくみの改善

内服治療をしなくても始められるというところも利点があります。

1日の塩分摂取の目安は?

では減塩とはどのような量の塩分摂取に改善すればいいのでしょうか?

日本高血圧学会は、1日6g未満の塩分摂取を推奨しています。一方、現在の日本人の平均摂取量は約10g前後とされています。つまり、約4gの減塩が必要ということです。

今日からできる!気軽な減塩のコツ

今回は、どのようにしたら塩分が減らしやすいか?を解説します。コツとしては調味料の使い方と旨味の出し方です。

高血圧の治療は短期的な頑張りではなく、長期的な改善が必要(マラソンのようなもの)なので、とても我慢して減塩することは得策ではありません。

調味料の使い方を見直す

減塩しょうゆや減塩みそを使う市販の減塩タイプの調味料を選ぶだけでも、かなりの塩分がカットできます。たとえば、減塩しょうゆは通常の約半分のナトリウム量です。

また、「かける」より「つける」に変えるしょうゆやソースは、かけるのではなく、小皿に少量出してつけることで、無意識のうちに摂取量を減らせます。

このようなこかまな工夫が大切です。

だしや香味野菜で「うまみ」を引き出す

塩分が少なくても満足できる味にするには、「うまみ」や「香り」を上手に使うことが鍵です。昆布・かつお・しいたけの出汁を活用することで自然なうまみで、塩を減らしても物足りなさがなくなります。

また、しょうが、にんにく、しそ、ねぎなどの香味野菜→ 香りや辛味で味のアクセントが生まれ、塩分に頼らずに美味しく感じられます。

市販食品・外食の塩分を意識する

加工食品は塩分が高いため、注意が必要です。特にハム・ソーセージ・漬物・カップ麺・惣菜パンなどには多くの塩分が含まれています。

カップラーメンのスープまで飲むと、1食で6g以上になることもあります。なるべく「減塩」「低ナトリウム」などの表示をチェックするなどしましょう。

外食時のワンポイントとしては

  • スープやソースは残す
  • ドレッシングは別添えにして調整
  • 和食の定食は意外と塩分が多い(味噌汁・漬物・焼き魚など)

があります。

それ以外の工夫について

  • 食卓に「塩」を置かない
  • 「ゆでこぼし」で減塩
  • 減塩記録アプリを活用する
  • 塩分を「減らす」より「意識する」から始める

料理を出すときにテーブルに塩を置かないだけで、つい足してしまう塩分を防げます。また、加工食品(ウインナー、ちくわなど)や野菜の塩ゆでは、さっと熱湯で茹でこぼすだけで塩分が抜けます。

スマホのアプリを使って、塩分の見える化をすることで、無理なく続けやすくなります。例えば「カロミル」「あすけん」など。

いきなり減らすのではなく、「今日は何グラムくらい摂ったかな?」と意識することからスタートすると挫折しにくくなります。

塩分の代わりに使えるおすすめ食材・調味料

では塩分の代わりに味付きとして使えるものは下記があります。

代替品特徴・使い方
レモンや酢酸味でさっぱり、味にメリハリをつける
スパイス(胡椒、カレー粉など)香りと刺激で味に変化を持たせる
ハーブ(バジル、タイムなど)洋風料理に合い、塩分を補わずに風味が豊かになる
ごま、青じそ香ばしさや風味で「薄味」でも満足感あり

塩味の濃い味が好きな方は、ぜひこれらを気をつけて味気ない味で我慢しながら食事をするのではなく、おいしく減塩を頑張れるようにしましょう。

まとめ

  • 心疾患や腎疾患のある方は、塩分制限の目標がさらに厳しくなることがあります。
  • めまいやふらつきなどがある場合、過度の塩分制限の考慮が必要です。
  • 不安なときは、かかりつけ医や管理栄養士に相談しましょう。

減塩は「味気なくなる」と思われがちですが、工夫しながら美味しく続けることが可能です。日々のちょっとした意識や選択の積み重ねが、将来の健康につながります。

無理のない範囲で、「まずは一品だけ」「まずは一日だけ」でも、始めてみましょう。

当院では管理栄養士による栄養指導をおこなっており、高血圧と診断された方は、ぜひ一度受けるようにしましょう。

みどりのふきたクリニック

診療科目循環器内科、消化器内科、内科、訪問診療
場所静岡市葵区大岩町4-23 
アクセス静清バイパス唐瀬ICから5分 城北公園の近く
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