健診で脂肪肝と言われたら|MASLD(脂肪肝)の原因・検査・治療について医師が解説

脂肪肝とは

脂肪肝という言葉を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?

脂肪肝とはその名の通り肝臓に脂肪が過剰に蓄積する状態のことを指します。つまりお腹に贅肉がつくように、さまざまな原因で肝臓に脂肪がついてしまう病気です。

脂肪肝は自覚症状はほとんどないため放置しがちですが、放置すると肝炎や肝硬変へ進行する可能性があることが知られており、適切な診察や対策が必要な疾患です。

脂肪肝の原因は?

生活習慣や代謝異常が関係する脂肪肝(MASLD)

MASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)は、肝臓に脂肪が蓄積し、肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの心血管・代謝リスク因子を伴う病気です。

以前はNAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)と呼ばれていましたが、現在はMASLDという新しい名称・分類が用いられるようになっています。

また、飲酒量によってはMASLDとアルコールの影響が重なる場合もあり、脂肪肝を単純にお酒を飲む・飲まないだけで分類することはできません。

生活習慣が関係する?(肥満・糖尿病・高脂血症との関連)

肥満が最も発症に重要なリスクであり、2型糖尿病、高血圧、脂質異常症といった生活習慣病も原因となります。

特に肥満や2型糖尿病患者には、ガイドライン上でも、腹部エコーや採血で肝臓の検査を行うことが言われています。(*NAFLD/NASH診療ガイドライン2020)

また、最近では睡眠時無呼吸症候群による脂肪肝も注目されています。

アルコールも関連する

アルコールをたくさん飲むと、アルコールを代謝する過程で、肝細胞の中に肝臓内に脂肪が生成され脂肪肝となります。飲酒量が多いほど脂肪肝やアルコール関連肝障害のリスクは高くなります。

飲酒量が多い人は要注意! 一般的に、男性で1日30g以上(ビール500ml以上)、女性で1日20g以上のアルコール摂取が続くと脂肪肝のリスクが高まります。

脂肪肝の症状はある?気づきにくい初期のサイン

実は肝臓は”沈黙の臓器”と言われ、痛みの神経がないことや肝臓自体が多少ダメージを受けても、頑張って働く能力が高いため、症状はあまりないでないです。

そのため初期の脂肪肝は基本的な症状はありません。検診の採血やエコー検査で指摘されたり、通院中の内科で指摘されることが多いです。また、症状がないため放っておきがちです。

脂肪肝が進行するとどうなる?(肝炎・肝硬変・肝がんのリスク)

脂肪肝の状態が進行すると脂肪肝由来の肝炎という炎症がある状態となります。

脂肪肝の一部では、肝臓への脂肪蓄積に加えて炎症や肝細胞障害を伴う脂肪肝炎へ進行します。

MASLDを背景として脂肪肝炎をきたした状態をMASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)と呼びます。さらに肝線維化が進行すると、肝硬変や肝がんにつながることがあります。

MASLD → MASH → 肝線維化 → 肝硬変

肝硬変まで進行すると肝臓がんができるリスクが出てきます。また、肝硬変が進行すると肝臓が働けなくなる状態=肝不全となり、さまざまな症状がでてくることがあり、そこからの改善は難しくなります。

脂肪肝と診断されたからといって、すぐに肝硬変になるわけではありません。

多くの方は早期の段階で見つかり、生活習慣の改善によって進行を防ぐことができます。一方で、放置すると一部の方では肝炎や肝線維化が進み、肝硬変へ進行することがあります。

検査で発見する重要性

肝臓は知らず知らずのうちに進行していくことが多く、また、一度肝硬変が進行してしまうと元には戻らなくなってしまうこともあります。そのため、症状がなく、改善ができるうちに発見し、生活習慣の改善等を行うことが大切です。

また、脂肪肝、脂肪肝炎由来の肝臓がんの増加してきており、それらの早期発見のためにも腹部エコーなどを定期的に受けていくことが大切です。

脂肪肝では「脂肪がどれくらいついているか」だけではなく、「肝臓の線維化が進んでいないか」を評価することが重要です。

脂肪肝の診断方法:健康診断で指摘されたらどうする?

脂肪肝の診断方法や検査としては下記のものがあります。

  • 血液検査(AST・ALT・γ-GTPの異常)
  • 腹部エコー検査で脂肪沈着の評価
  • CT・MRIでの精密検査
  • 肝生検(稀)

健診で肝機能異常を指摘された場合には、まず血液検査で肝障害の程度や原因を評価します。

脂肪肝の有無を確認するには腹部エコーが有用で、肝臓への脂肪蓄積を身体への負担が少なく評価できます。

でも紹介したように、肝障害から発見される方は多いです。その肝臓のダメージが脂肪肝かの評価は、腹部エコーが一番簡便です。また、エコーによっては脂肪化の具合を数値で評価することができます。

また、さらなる精密検査として、CT、MRIなどの画像検査と肝臓の組織をとって調べる肝生検があります。

肝生検は肝臓の組織を直接調べることができる検査ですが、身体への負担を伴うため、すべての脂肪肝の方に行う検査ではありません。必要性を慎重に判断して行います。

また、採血結果をお持ちの方は肝臓の評価をFIB-4indexという下記ツールでリスクを計算できます。

FIB-4 indexを計算する

FIB-4 indexは脂肪肝そのものを診断する検査ではなく、肝線維化が進んでいる可能性を評価するための指標です。

年齢、AST、ALT、血小板数から簡単に計算できます。値が高い場合には、腹部エコーや肝硬度測定など、さらに詳しい評価が必要になることがあります。

詳しい評価を受けたい静岡市の方は受診も検討ください。

脂肪肝は治る?改善のための生活習慣と治療法

脂肪肝の治療は生活習慣改善が基本

脂肪肝の改善で一番大切なのはアルコール含めた生活習慣の改善です。食事や運動による体重減少は、脂肪肝を改善させることがしっかりとさまざまな研究により証明されています。

食事療法(脂肪肝を改善する食事のポイント)は?

脂肪肝の人が避けるべき食事(糖質・脂質・アルコール)

脂肪肝の改善のための食事としては総摂取エネルギーを適正化し、特に糖分の多い飲料や菓子類、過剰な飽和脂肪酸、アルコールなどを見直すことが重要です。しかし、過度な食事制限はむしろ悪化してしまうこともあるため、偏った食事は逆効果です。

栄養指導などで、しっかりプロの意見を取り入れつつ、食事を気をつけるようにしましょう。

肝臓に優しい食品・栄養素とは?

食事としては、地中海食は有意に脂肪肝を改善させることが証明されています。

地中海食とは野菜や果物、魚介類、オリーブオイルや穀物を使った料理のことです。また、様々な研究でコーヒーの摂取が発症を予防する可能性も示唆されています。

運動療法(どんな運動が効果的?ウォーキング・筋トレ)のポイントは?

また、生活習慣病同様に運動が有効な効果があります。

脂肪肝改善におすすめの運動習慣

30分〜60分の有酸素運動を週3回〜4回、12週連続で行うことで肝臓の脂肪化が改善することが報告されており、行いやすさからも、これを一つに目標とすることが良いと考えます。

体重減少自体が脂肪肝にはよく、どんな形でも自分にできる運動を取り入れていく必要があります。

体重管理(適正体重に戻すことが肝臓の負担軽減につながる)

肥満を伴う脂肪肝では、まず体重の5%程度の減量を目標にします。さらに7~10%程度の減量が達成できると、肝臓の炎症や線維化の改善も期待できます。

脂肪肝に対する薬物療法

MASLDの治療の基本は、現在も食事・運動・減量などの生活習慣改善です。

一方、2026年6月には、一定の条件を満たすMASHに対してセマグルチド(ウゴービ®)が日本で承認され、薬物療法という新しい選択肢が加わりました。ただし、すべての脂肪肝の方が対象になるわけではなく、肝線維化の程度などを含めて専門的に適応を判断する必要があります。

また、糖尿病や肥満などを合併している場合には、それらの病気を適切に治療することも脂肪肝の改善につながります。

脂肪肝を放置するとどうなる?進行すると危険な病気に

脂肪肝が進行すると前述したように脂肪肝炎→肝硬変へと進行していきます。肝硬変とは、文字通り肝臓がかたくなった病気で肝硬変になると、症状がでたり、肝臓がんの原因になったりします。

MASH(代謝異常に関連した脂肪性肝炎)とは?

MASLDと言われる脂肪肝は、基本的には肝臓に脂肪がつくだけで、炎症は弱いため、悪化もゆっくりです。

MASLDの中には、肝臓に脂肪がたまるだけでなく炎症や肝細胞障害を伴うMASHへ進行する方がいます。さらに肝線維化が進むと、肝硬変や肝がんにつながることがあります。

炎症や繊維化が強いMASHは特に注意が必要です。そのため、肝障害がある方はどれくらいの繊維化が進んでいるかの検査を行い、リスクを評価することが重要です。

また、脂肪肝は肝臓だけの病気ではありません。

MASLDは肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症などと密接に関連しています。そのため、肝硬変や肝がんだけでなく、心筋梗塞や脳梗塞などの心血管疾患にも注意する必要があります。

脂肪肝を指摘された場合には、肝臓だけを見るのではなく、血圧・血糖・コレステロールなども含めて評価することが大切です。

肝硬変・肝がんのリスクと予防の重要性

MASHの状態が続くと繊維化といって肝臓が硬くなる変化が起こりやがて肝硬変になっていきます。

肝硬変になると、さまざまな症状が出たり、肝臓がんの発生のリスクがあります。しかし、肝臓自体は症状が出にくい臓器のため、エコー検査などの画像検査をしなければ見つかりにくいです。

脂肪肝は肝硬変にならなくとも肝臓がんができると言われており、そのため、定期的なエコーなどの画像検査も大切です。

脂肪肝のために今日からできること

以上から脂肪肝はしっかりと定期検診を受けること、生活習慣を見直していくことがとても大切といえます。

適度な運動や食事療法は、糖尿病や高血圧などの生活習慣病の改善にも重要であり、薬剤を飲むことと同じくらい治療として重要です。また、肝臓は症状が出ない臓器であり、定期的な検査は欠かさないようにしましょう。

  • 食生活の見直し(糖質・脂質・アルコールの摂取を適切に)
  • 体重を5%以上減少される
  • 適度な運動(週に150分の有酸素運動が推奨される)
  • 定期的な健康診断(早期発見・早期対策の重要性)

まとめ

脂肪肝は症状がないため放置しがちですが、脂肪肝がある方は生活習慣病の発症することもあり、生活習慣の改善や、定期的な検査をうけ、悪化させないことが重要です。

肝臓の数値が高いけど特に何もしていない。検診で肝障害や脂肪肝が指摘された。糖尿病があるけど肝臓が心配などの人はぜひ肝臓についても一度しっかり受診するようにしましょう。

静岡市で脂肪肝と言われた方へ

このような方は一度ご相談ください

  • 健診や人間ドックで脂肪肝を指摘された
  • AST・ALT・γ-GTPの異常が続いている
  • 肥満や糖尿病があり、脂肪肝も指摘されている
  • FIB-4 indexが高かった
  • 脂肪肝と言われたが、何年も検査をしていない

当院では血液検査、腹部エコー、FIB-4 indexなどを組み合わせて、脂肪肝だけでなく肝線維化のリスクも含めて評価します。当院では、エコーなどで肝障害についても評価し、適切な経過観察や治療法を提案してます。

静岡市で健診などで指摘された方はお気軽にご相談ください。

参考文献:

みどりのふきたクリニック

診療科目循環器内科、消化器内科、内科、訪問診療
場所静岡市葵区大岩町4-23 
アクセス静清バイパス唐瀬ICから5分 城北公園の近く
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