睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは
知らないうちに呼吸が止まる病気
睡眠時無呼吸症候群(SAS: Sleep Apnea Syndrome)とは、眠っている間に何度も呼吸が止まる、または浅くなる病気です。「無呼吸」とは、10秒以上呼吸が止まる状態を指し、これが一晩に何十回も繰り返されると、体にさまざまな悪影響を及ぼします。
代表的な症状としては以下のようなものがあります。
- 大きないびき
- 夜中に何度も目が覚める
- 起床時の頭痛
- 昼間の強い眠気
- 集中力の低下
SASの主なタイプ
SASにはいくつかのタイプがありますが、最も多いのは「閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)」です。これは、寝ている間に喉の筋肉がゆるみ、気道が塞がることで呼吸が止まるものです。
他には、脳の呼吸中枢に原因がある「中枢性SAS」や、それらが混在する「混合型」もあります。
なぜ問題なのか?放置によるリスク
高血圧や心筋梗塞のリスク
SASを放置すると、酸素不足が繰り返され、身体は常にストレス状態になります。その結果、以下のような病気のリスクが高まります。
- 高血圧
- 心不全
- 心筋梗塞
- 脳梗塞
- 糖尿病の悪化
また、日中の眠気により交通事故や労働災害の原因になることもあります。当院でも高血圧を契機に睡眠時無呼吸症候群の診断となった方もいらっしゃいます。
子どもや若年者でも注意が必要
SASは中高年に多いとされていますが、肥満や顎の形、鼻の病気などが原因で若年層や小児でも起こることがあります。特に成長期の子どもでは、集中力の低下や学習障害につながる可能性も指摘されています【DOI: 10.1007/s11325-020-02076-5】。
自分でも気づきにくい病気
周囲の人の指摘で気づくことが多い
SASは、本人が気づきにくい病気です。自覚症状がないまま進行することもあるため、ご家族から「いびきが大きい」「寝ているときに呼吸が止まっている」と言われたら、一度検査を受けることをおすすめします。
検査と診断:簡易検査でチェック可能です
みどりのふきたクリニックでは貸出式の簡易検査が可能です
当院では、自宅で行える貸出式の「簡易終夜睡眠ポリグラフ検査(簡易PSG)」を行っています。鼻にセンサーをつけ、眠っている間の呼吸状態や酸素濃度を測定することで、SASの有無を確認できます。
検査は以下のように進みます。
- 外来で診察・問診
- 検査機器を貸出、自宅で就寝時に使用
- 翌日機器を返却
- 記録データをもとに医師が解析・結果説明
必要に応じて、専門施設での精密検査(終夜睡眠ポリグラフ検査:PSG)をご紹介する場合もあります。
治療法について
中等度以上の場合はCPAP治療が基本
SASの治療にはいくつか方法があります。中等度以上の場合は「CPAP(シーパップ)療法」が基本です。これは、寝ている間に鼻にマスクを装着し、空気を送り込むことで気道を広げ、無呼吸を防ぐ方法です。
軽度の方には生活習慣の見直しも重要
軽症の方や、CPAPを希望されない方には、以下のような生活習慣の改善が勧められます。
- 減量(特に肥満の方)
- 禁酒(特に就寝前)
- 仰向けで寝ないように工夫する
- 鼻づまりの治療
よくある質問(FAQ)
Q:いびきがあるだけでも検査すべきですか?
A:いびきが大きく、途中で止まっているようなら検査をおすすめします。家族からの指摘がきっかけになることが多く、検査でSASと診断される方も多くいます。
Q:保険は適用されますか?
A:はい、簡易検査もCPAP治療も健康保険が適用されます。ただし、条件により異なる場合がありますので、詳しくは当院でご相談ください。
まとめ:眠りの質は命の質
睡眠時無呼吸症候群は、ただのいびきとは異なる「命に関わる病気」です。本人の自覚が少ない分、気づかれにくく、放置されがちです。しかし、早期発見・早期治療により、合併症のリスクを大きく減らすことができます。
当院での対応
みどりのふきたクリニックでは、外来での相談から自宅での簡易検査まで対応しております。また、状況に応じて市内の専門病院ヘも紹介させていただいています。「もしかして…」と思ったら、お気軽にご相談ください。