クローン病
クローン病は、口から肛門までの消化管のどの部分にも炎症が起こる慢性の炎症性腸疾患(IBD)の一つです。特に小腸や大腸に炎症が生じることが多いのが特徴です。症状が良くなったり悪くなったりを繰り返す病気であり、長期的な治療が必要です。
潰瘍性大腸炎と似たような症状をおこしますが、潰瘍性大腸炎は大腸中心であるのに対して、クローン病は口の中や肛門、小腸などにも発症します。
クローン病の主な症状
クローン病の症状は炎症が起こる部位によって異なりますが、一般的には以下のような症状が見られます。
✅ 下痢(血便を伴うこともある) ✅ 腹痛(特に右下腹部の痛みが多い) ✅ 体重減少 ✅ 発熱や倦怠感 ✅ 肛門のトラブル(肛門周囲膿瘍や痔瘻など) ✅ 関節痛や皮膚炎などの合併症
症状の重さには個人差があり、悪化すると腸管が狭くなる(狭窄)や穴が開く(穿孔)などの合併症が起こることもあります。
クローン病も潰瘍性大腸炎と同様に、長期の経過をたどり、よくなったりわるくなったりを繰り返します。
クローン病の原因
クローン病の正確な原因は分かっていませんが、以下の要因が関与していると考えられています。
✅ 免疫の異常(腸の免疫システムが過剰に反応して炎症を引き起こす)
✅ 遺伝的要因(家族内に患者がいる場合、発症リスクが高くなる)
✅ 環境要因(食生活、喫煙、腸内細菌のバランスの変化など)
4. クローン病の診断方法
クローン病は、以下の方法で診断されます。
- 大腸内視鏡(炎症や潰瘍の有無を確認)
- カプセル内視鏡検査(小腸の詳しい観察が可能)
- 血液検査(炎症の程度や栄養状態の確認)
- 画像検査(CT・MRI・超音波検査)(腸管の状態や合併症の有無をチェック)
クローン病の治療方法
クローン病の治療は、薬物療法や食事療法を中心に行われ、症状のコントロールを目指します。
薬物療法
- 5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤(軽症~中等症の炎症を抑える)
- ステロイド(症状が悪化した際に使用)
- 免疫調整薬(免疫の異常な働きを抑える)
- 生物学的製剤(抗TNF-α抗体やJAK阻害薬などの新しい治療薬)
食事療法
- 低脂肪・低残渣(低繊維)食を基本とする
- 消化しやすい食品を選ぶ(脂っこいもの・刺激物を避ける)
- 高タンパク・高カロリーの食事を意識する(栄養状態の維持が重要)
手術療法
- 狭窄(腸の狭まり)や穿孔(腸に穴が開く)などの合併症が起こった場合に実施
- 腸の機能を最大限残すことを考慮しながら部分切除を行う
クローン病と上手に付き合うために
クローン病は完治が難しい病気ですが、適切な治療を行うことで症状を抑え、日常生活を快適に送ることが可能です。
- 症状が落ち着いている時期も治療を続ける(寛解維持が重要)
- 自己判断で薬をやめない
- 食事や生活習慣を見直す(禁煙が特に重要)
- 定期的に医師の診察を受け、体調の変化を見逃さない
クローン病の症状がある場合は、早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。