憩室炎とは
大腸カメラをした時に、憩室があると指摘された方もそれなりにいるのではないでしょうか。
憩室炎(けいしつえん)とは、その大腸の壁にできた袋状のくぼみ(憩室)に炎症が起こる病気です。憩室そのものは無症状ですが、そこに便や細菌がたまり、感染を起こすと炎症を引き起こします。
憩室炎の原因
憩室は日本でも大腸カメラをおこなわれた平均55歳の方の23.9%に見つかった*1と報告があるほどありふれています。
憩室ができる主な原因は、加齢や食生活の乱れとされています。特に、食物繊維の不足や便秘が憩室の形成や炎症のリスクを高めるとされています。
また、憩室炎自体は喫煙をする人が重症化するリスクが高いことと、肥満の人が発症リスクが高いことが報告されています。そのほか飲酒やNASIDsとの関連性の可能性もあるようです。
憩室炎の症状
憩室炎は、軽症から重症までさまざまな症状を引き起こします。
大腸憩室自体が上行結腸(右下のあたり)とS状結腸(左下のあたり)にできやすいこともあり、腹痛は右または左下腹部が多いです。そのため盲腸と言われる虫垂炎と症状が似ている場合もあります。
✅ 腹部の痛み
✅ 発熱(炎症が強い場合)
✅ 吐き気や嘔吐
✅ 便秘や下痢
✅ 血便(まれに出血を伴うことも)
軽症なら外来で治療できるケースもありますが、重症の場合は、大腸穿孔(穴が開く)や腹膜炎を引き起こす可能性があり、早めの診察が必要です。
憩室炎の診断方法
医師は、症状や腹部診察に加え、以下の検査を行います。
- 問診と診察(診察で原因と思われる臓器を確認します)
- 腹部エコー(腸の炎症を確認します。)
- CT検査(炎症や膿瘍の有無を確認)
- 血液検査(炎症の程度を確認)
- 大腸内視鏡検査(炎症が落ち着いた後に実施することが多い)
診断は診察、問診を基本とし、腹部エコーやCTで確定診断を行います。
憩室炎の治療方法
① 軽症の場合(自宅療養)
- 抗生物質の内服(細菌感染を抑える)
- 食事制限(消化の良いものを摂取)
- 水分補給を十分に行う
- 安静にする
継承のケースは内服の抗菌薬と飲みつつ、安静にして治療を行う場合があります。その場合でも腹痛が強くなるなど変化があればすぐに病院へ受診が必要です。
② 重症の場合(入院治療)
- 点滴による抗生物質の投与
- 絶食・腸の安静
- 場合によっては手術(穿孔や膿瘍の形成がある場合)
高熱があったり、腹痛が強い場合は入院での治療を行います。その場合は絶食と言って食事を食べずに腸を安静にしつつ、抗菌薬の点滴で治療します。
憩室に穴が空いた場合やひどい場合は手術が必要となることもあります。
憩室炎の予防方法
憩室炎は完全に防ぐことはできませんが、日々の食生活や生活習慣の改善は大切です。
① 食物繊維をしっかり摂取
- 野菜・果物・全粒穀物・豆類を積極的に食べる
- 便秘を防ぐために十分な水分を摂取
② 規則正しい排便習慣
- 朝食後にトイレへ行く習慣をつける
- 強くいきまない(腸に負担をかけない)
③ 適度な運動をする
- 1日30分程度のウォーキングやストレッチ
- 腸の動きを活発にする運動を取り入れる
④ 喫煙・飲酒を控える
- 腸の血流を悪化させる喫煙を避ける
- アルコールは適量を守る
まとめ
憩室炎は放置すると重篤になることもある疾患です。腹痛や発熱などの症状がある場合は、早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
【注意】 本記事は一般的な情報提供を目的としており、診断や治療の代わりとなるものではありません。必ず医師の診察を受け、適切な治療を受けることをおすすめします。