心臓と腎臓の健康を守るために:あなたが知っておきたい7つの大切なこと

健康診断の結果を見て、「血圧が少し高めですね」「血糖値に注意が必要です」「腎臓の数値が気になります」といった指摘を受けたことはありませんか?

これらのサインは、将来の大きな病気を未然に防ぐための“体からのメッセージ”かもしれません。

特に「心臓」と「腎臓」は、私たちの体の中で互いに深く影響し合っています。どちらかの調子が悪くなると、もう一方にも負担がかかり、病気のリスクが高まってしまいます。

この記事では、心臓と腎臓の健康を守るために、知っておいていただきたい7つのポイントを、内科医の視点からできるだけわかりやすくご紹介します。

1. 「心不全」という状態を正しく知る

「心不全」と聞くと、突然心臓が止まるような病気を想像される方もいるかもしれません。しかし実際には、「心不全」とは心臓のポンプ機能が弱まり、全身に十分な血液を送り出せなくなった“状態”を指します。

つまり心臓がうまく働けなくなることです。

心不全の症状としては、息切れ、足のむくみ、だるさ、夜間の頻尿などが見られることがあります。一度心不全になると、進行しやすい側面もありますが、早期の対処と継続的なケアで進行を遅らせることが可能です

2. 心臓と腎臓は「運命共同体」

心臓と腎臓は実は密接な関係です。

なぜなら、心臓は血液を全身に送り出す役割を、腎臓はその血液をろ過し不要な水分や老廃物を体の外へ出す役割を担っています。この2つはまさに「連携プレー」で体を支えている存在です。

腎臓の働きが悪くなると、体に余分な水分や塩分が溜まり、それが心臓に負担をかけてしまいます。

逆に、心臓の機能が落ちると、腎臓への血流が減り、腎機能も低下します。このような心臓と腎臓の悪循環は、「心腎連関(cardiorenal syndrome)」とも呼ばれ、近年注目されています。

だからこそ、どちらか一方ではなく、心臓と腎臓の両方の健康を同時に意識することがとても重要です。

3. 生活習慣病の管理が最大の予防策

高血圧糖尿病脂質異常症といった生活習慣病は、心臓や腎臓の病気の最大のリスク要因です。、また、これらの病気は症状はほとんどありませんが、放置して進行すると、やがて心不全や腎不全な重篤な疾患へとつながることがあります。

なぜならそれぞれ高血圧、糖尿病、脂質異常症は

ことが知られています。健康診断でこれらの異常を指摘されたら、「まだ症状がないから大丈夫」と思わずに、医師と一緒にしっかり管理していくことが何より大切です。

4. 日々の習慣が未来を変える:食事・運動・禁煙のススメ

心臓と腎臓に優しい生活は、日々の習慣の積み重ねから生まれます。以下の4つを特に意識してみてください。

塩分を控える(減塩)

塩分の摂りすぎは血圧を上げ、むくみを引き起こします。加工食品や外食を控えめにし、家庭では「薄味」を心がけましょう。

栄養バランスのよい食事

タンパク質、ビタミン、ミネラルなどを偏りなく摂ることで、病気に負けない体づくりができます。

無理のない運動

軽いウォーキングやストレッチなど、“心地よい範囲”で体を動かす習慣が、血流を改善し、心臓と血管を守ります。

禁煙を徹底する

喫煙は血管を傷つけ、動脈硬化を進めます。心臓や腎臓にとって最大の敵の一つです。

これらは気軽にはじめることができますが、効果は絶大です。

5. 「ちょっとした変化」に敏感になる

心臓や腎臓の病気は、初期には症状があまり出ないことも多いのが特徴です。だからこそ、自分の体の変化を見逃さないことがとても大切です。

たとえば、

  • 毎朝の血圧測定
  • 定期的な体重の記録
  • 「なんだかだるい」「むくみが取れない」といった感覚の変化

こうした“小さなサイン”を感じたときは、早めにかかりつけのクリニックにご相談ください。特に体重が急に2kg以上増える場合は、体内に水分が溜まっている可能性があり、心不全の兆候かもしれません。

6. 治療法を選ぶのは「医師とあなたの二人三脚」

腎臓の機能が大きく低下し、透析や腎移植といった腎代替療法が必要になるケースもあります。そうした治療の選択に際して大切なのは、「どれが正解か」ではなく、「あなたがどのように生きたいか」です。

医療には標準的な選択肢がありますが、それをどう選ぶかはご自身の価値観や生活スタイルによって変わってきます。このように、医療者と患者さんが一緒に考え、話し合って治療を決めていくことを「共同意思決定(シェアード・ディシジョン・メイキング)」と呼びます。

「よくわからないから先生に任せたい」というお気持ちも立派な意思表示です。その場合も、ご自身の不安や希望を遠慮なく伝えてください。

7. 医療費の不安も、一人で抱えないで

また、ひとたび透析治療を含む慢性の病気では、医療費の心配が大きなストレスになることもあります。しかし日本には、医療費負担を軽減するための公的制度が複数あります。たとえば:

  • 高額療養費制度:月々の自己負担に上限を設ける制度
  • 特定疾病療養受療証:透析など特定の疾患に対する医療費を軽減
  • 自立支援医療(更生医療):身体障害者手帳が対象となる医療の支援制度
  • 障害者医療費助成制度:市区町村ごとに運用される支援制度

たとえば透析には月額約40万円の医療費がかかりますが、制度を正しく活用すれば、自己負担額は大きく抑えられます。高額医療費制度なども年収に応じて医療費が抑えられます。申請方法などがわかりづらい場合は、医療ソーシャルワーカーやクリニックスタッフにお気軽にご相談ください。

おわりに

心臓と腎臓は、あなたの体を支える“チーム”のような存在です。どちらも静かに、しかし確実にあなたの毎日を支えています。だからこそ、早めの気づきと、日々のちょっとした心がけがとても大切なのです。

私たち「みどりのふきたクリニック」は、皆さんがいつまでも健康でいられるように、心と体の両面からサポートを行っています。不安なことがあれば、どうぞいつでもご相談ください。

みどりのふきたクリニック

診療科目循環器内科、消化器内科、内科、訪問診療
場所静岡市葵区大岩町4-23 
アクセス静清バイパス唐瀬ICから5分 城北公園の近く
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