はじめに
「病院に行きたいけど、体がつらくて行けない」「一人暮らしの高齢者で、外出するのが不安」。そうしたお悩みを抱える方にとって、訪問診療はとても大きな助けになります。
この記事では、「訪問診療ってどんな人が受けられるの?」「通院とどう違うの?」といった疑問に、わかりやすくお答えしていきます。
訪問診療とは?
まず前提として、訪問診療は定期的な医師の訪問による計画的な医療です。
「往診」と混同されがちですが、以下のように違いがあります。
区別 | 訪問診療 | 往診 |
---|---|---|
性質 | 定期的・計画的な診療 | 急な病状変化時の緊急対応 |
依頼 | 医師側が定期的に訪問 | 患者側からの緊急依頼で訪問 |
対象者 | 通院が困難な人 | 一時的に外出できない状態の人 |
訪問診療は病院に通う代わりに、医師が定期的に自宅を訪れる医療のスタイルと考えるとイメージしやすいでしょう。
訪問診療の対象となる人とは?
訪問診療は誰でも受けられるわけではありません。
基本的には、「通院が困難で、定期的な医療管理が必要な人」が対象になります。以下、具体的に見ていきましょう。
高齢者で通院が難しい方
年齢に伴って体力が落ちてくると、病院に通うだけで一苦労になります。
たとえば以下のような方は対象になります。
- 足腰が弱っていて、外出時に転倒リスクがある
- 認知症があり、一人で通院できない
- 同居の家族も付き添いが難しい
慢性疾患を持つ方で、医療的ケアが継続的に必要な方
たとえば次のようなケースが該当します。
- 心不全やCOPDなどで、在宅酸素療法をしている方
- がんなどで、緩和ケアを自宅で受けている方
- 褥瘡(床ずれ)の管理や点滴治療が必要な方
障害などにより、移動が著しく制限されている方
身体障害を持つ方で、自力での移動が困難なケースもあります。
- 車いす生活で、一人では病院へ行けない
- 精神的な理由で外出が極度に困難
医師が「通院困難」と医学的に判断した方
一見元気そうに見えても、医師の診断により「通院が難しい」と判断されれば訪問診療の対象になります。
例えば、透析やがん治療の副作用で極度に体力が低下しているような場合などが該当します。
訪問診療を希望するとき、どうすればいい?
まずはかかりつけ医や地域のクリニックに相談
通院している病院や近くの内科クリニックに相談するのが第一歩です。
当院「みどりのふきたクリニック」でも、訪問診療のご相談を承っております。
患者さんご本人だけでなく、ご家族やケアマネージャーの方からのご相談も歓迎しております。
介護保険サービスを利用している方はケアマネと連携を
すでに介護保険を利用している場合、ケアマネジャーが医療機関との橋渡しをしてくれることも多いです。
訪問診療は、訪問看護や介護サービスと連携して行われることが多いため、「チームでの支援」が基本になります。
訪問診療を受けると、どんなサポートが受けられる?
訪問診療では、以下のような医療サービスが受けられます。
- 定期的な内科診察・処方
- 血液検査、心電図、超音波などの検査
- 在宅酸素、点滴、カテーテル管理
- 痛み止めや緩和ケアの調整
- 24時間対応(必要に応じて)
患者さんの状態に応じて、ケアマネージャーをはじめ医師・訪問看護・薬剤師・リハビリスタッフなどさまざまなスタッフが連携しながら患者さんの生活から治療までを支援していきます。
おわりに
訪問診療は、「通院できないから、我慢するしかない」という状況を変えるための、大切な選択肢です。
「もしかしたらうちの親も対象になるかも?」「将来に備えて知っておきたい」――そんな方は、ぜひ一度ご相談ください。
当院は訪問診療をしっかりとおこないつつ、体調が回復するなどで通院へ戻すなど、通院でも、訪問診療でも安心して通っていただける体制をつくっております。お気軽にご相談ください。