体のホメオスタシス(恒常性)とは?

私たちの体が自然に保っている「バランス」

私たちの体は、日々の生活の中で、暑さ・寒さ、運動・休息、ストレス、食事の変化など、さまざまな外的・内的な変化にさらされています。それでも健康を保てるのは、体が「ちょうどいい状態(バランス)」を自動的に保つしくみがあるからです。

この仕組みを「ホメオスタシス(恒常性)」と呼びます。少し難しい名前ですが、この機能が私たちの体を助けてくれています。

今回は病気にならないように体が頑張ってくれる機能、ホメオスタシスについて解説してみたいと思います。

ホメオスタシスとは何をしているの?

ホメオスタシスとは、体内の環境(体温・血圧・血糖・水分量など)を、一定の範囲内に保つ働きのことです。
人間の体には、この「ちょうどいい状態」から外れないように、さまざまな調節機能が備わっています。

少し体調が悪いとしても、この機能があることで頑張れば体を問題なく動かすことができます。しかし、ホメオスタシスがあるがために体の不調を強く感じにくいという欠点もあります。

具体的な働きの例

たとえばどのようにバランスをとってくれているのか?具体的をご紹介します。

● 体温の調整

暑いときは汗をかいて体を冷やし、寒いときは震えて体を温めます。こうして暑い日も寒い日も人間の体温をほぼ36〜37度に保っています。

● 血糖値の調整

食事で血糖が上がると、インスリンというホルモンが出て血糖を下げます。逆に下がりすぎたときは、血糖を上げるホルモンが働きます。この機能により体の血糖値は、食事の量や食べる食べないに関わらず、上がりすぎず、下がりすぎずを保つことができます。

このバランスがおかしくなると糖尿病です。

● 血圧の調整

急に立ち上がって血圧が下がっても、すぐに血管をしぼめたり心拍を上げたりして、脳への血流を保ちます。

これにより血圧を維持しています。

神経とホルモンが連携して調節する

こうした調整には、自律神経のホルモン(内分泌)が密接に関わっています。

  • 自律神経:心拍、血圧、消化などを無意識にコントロール
  • ホルモン:体の各所に化学的な指令を送って働きを調整

この2つが連携して、体の状態を見張り、少しでもバランスが崩れるとすぐに元に戻そうとします。

ホメオスタシスが崩れると?

本来、自動的にバランスを保つはずのホメオスタシスが、何らかの原因でうまく働かなくなると、次のような症状や病気が起こることがあります。

  • 暑いのに汗が出ない → 熱中症
  • 血糖が調整できない → 糖尿病
  • 血圧が高いまま → 高血圧・脳卒中のリスク増加
  • 自律神経が乱れる → 不眠・胃腸障害・めまい
  • 腎臓や肝臓の機能低下 → 体液や電解質バランスの崩れ

そして、このバランスが大きく崩れると、命に関わる重篤な状態になることもあります。

それでも体は「なんとか保とう」とする

ここで重要なのは、人間の体は、ギリギリまでこのバランスを保とうと必死に働き続けるということです。

たとえば、脱水や栄養不足が続いても、体は血液の量を調整したり、代謝を切り替えたりして、できるだけ正常な状態を維持しようとします。
このように、体は不調が表に出る前から、水面下で一生懸命に調整し続けているのです。

だからこそ、「症状が出たとき」には、すでにかなり無理をしていた可能性があります
そのため、体のサインを見逃さず、早めに気づくことが大切なのです。

ホメオスタシスを支える生活とは?

体の調整機能を助け、病気を防ぐには、日頃の生活習慣がとても大切です。

  • 規則正しい食事
  • 十分な睡眠
  • ストレスをためない
  • 適度な運動
  • 体調の変化に気づいたら早めに受診する

これらのことが、ホメオスタシスの働きを助け、健康を長く保つための基本になります。

まとめ

ホメオスタシス(恒常性)とは、体の中の環境を「ちょうどいい状態」に保つための調整のしくみです。
それがあるおかげで、私たちは毎日を健康に過ごせます。

しかし、無理が続くとバランスは崩れ、病気や重い症状につながります。それでも、体は最後までがんばってこのバランスを保とうとしているため、大きな病気の症状はある日突然ホメオスタシスが崩れた時におこります。

だからこそ、体の小さなサインを見逃さず、日常のケアを大切にしましょう。

みどりのふきたクリニック

診療科目循環器内科、消化器内科、内科、訪問診療
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