サルモネラ腸炎とは?

サルモネラ腸炎は、サルモネラ菌による食中毒の一種で、主に汚染された食品を摂取することで発症します。

激しい腹痛や下痢、発熱を伴うことが多い腸炎と知られています。健康な成人ではその症状が胃腸炎にとどまりますが、免疫力が弱い方、特に乳幼児や高齢者の方では重症化のリスクがあるため注意が必要です。


サルモネラ腸炎の原因

サルモネラ菌は、ウシやブタ、ニワトリなどや野生動物の腸内に生息する細菌で、食品を介して人に感染します。爬虫類や両生類は保菌率も高いため、ペットとして飼ったカメやヘビなどによる感染例も報告もあります。

特に以下のような食品が原因になりやすいです。

1. 汚染された食品の摂取

  • 生卵・半熟卵
  • 加熱不足の肉(特に鶏肉・豚肉)

サルモネラ菌は卵の殻の表面や内部に付着していることがあるため、割れた卵を常温で保管するなどを行うと感染症のリスクがあります。そのため卵の割置きはせず、生食する場合も直前に冷蔵庫から取り出し、賞味期限内に行うことが推奨されます。

また、生焼けの鶏肉や豚肉にはサルモネラ菌が付着していることがあり、しっかり加熱せずに食べると感染のリスクが高まります。

2. 二次感染

  • 調理器具(まな板・包丁)の使い回し
  • 調理者の手指を介した汚染

生の肉や卵を扱った後、器具を洗わずに他の食品を調理すると菌が移り発症の原因になります。特に生卵や生肉を触った手で調理や食事をすることには十分な注意が必要です。

3. ヒトからヒトへの感染

患者の便や嘔吐物から感染することもある

稀でありますが、サルモネラ菌は糞口感染するため、感染者がトイレの後に手を洗わずに食品を扱うと、家族や周囲の人に感染を広げる可能性があります。また、吐物や排泄物の処理には注意が必要です。


サルモネラ腸炎の症状

感染後6〜72時間(通常12〜24時間)の潜伏期間で以下の症状が現れます。

下痢(水のような便が頻繁に出る)
激しい腹痛やけいれん
発熱(38℃以上になることも)
吐き気・嘔吐
頭痛・倦怠感

細菌性腸炎であり、38 ℃以上の発熱を伴う場合が多く、そのほかには嘔吐や下痢、血便、腹痛などを引き起こすことがあります。

通常は保存的療法で改善しますが、重度の場合は脱水症状や敗血症を引き起こすこともあるため注意が必要です。


サルモネラ腸炎の治療

  • 脱水の補正
  • 腸管安静
  • 場合によって抗菌薬

通常、サルモネラ腸炎は自然に回復するため、健康な方では抗菌薬は使用が推奨されていません。また、麻痺性イレウスを発症することもあるため、下痢どめは使用しません。

基本的には整腸剤などの対症療法の薬と抗菌薬は重症例(免疫不全者や乳幼児、高齢者など)のみ使用されます。

サルモネラ腸炎の予防

生卵・半熟卵を避け割置きはしない
肉類はしっかり加熱する
調理器具をしっかり洗浄・消毒する
カンピロバクター同様にしっかりと加熱することが大切です。卵の割おきはしない、殻に菌がいることもあるため、破卵やヒビのある卵は別の容器に移して冷蔵庫で保存するなど、卵の取り扱いには特に注意しましょう。


まとめ

サルモネラ腸炎は汚染された食品や水を介して感染し、腹痛や下痢、発熱を引き起こします。通常は数日で回復しますが、脱水に注意しながら適切な対処をすることが重要です。

特に卵からの感染が多く、卵の取り扱いには注意が必要です。また、食材の加熱や手洗いを徹底することで予防できるため、日常生活の中で意識していきましょう。