潰瘍性大腸炎の治療中には、病状の経過や治療効果を確認するために定期的な検査が必要になります。適切な検査を受けることで、病状の悪化を防ぎ、より良い治療方針を立てることができます。
大腸の状態を確認する検査
潰瘍性大腸炎では、炎症の広がりや重症度を把握するために、以下の検査が行われます。
✅ 大腸内視鏡検査
- 大腸の粘膜の炎症や潰瘍の状態を直接観察
- 症状が落ち着いていても定期的に受けることが推奨されます
- 必要に応じて組織検査(生検)を実施し、大腸癌の鑑別や炎症の程度を詳しく調べる
✅ CT・MRI検査
- 腸管の炎症が重度で合併症(穿孔・狭窄)が疑われる場合に行う
- CTは緊急時に迅速に診断するために有効
- MRIは炎症の広がりや腸の動き(蠕動)を詳細に評価
炎症の状態を確認する血液・便検査
血液や便を調べることで、炎症の程度や貧血・栄養状態を確認します。
✅ 血液検査
- CRP(C反応性タンパク)・赤血球沈降速度(ESR):炎症の程度を反映
- 白血球・血小板:炎症の進行度を把握
- ヘモグロビン:出血による貧血の有無をチェック
- アルブミン:栄養状態や腸の吸収障害の評価
✅ 便検査
- カルプロテクチン・ラクトフェリン:便中の炎症マーカーを測定し、病状の変化を捉える
- 潜血反応:便に血が混じっていないかを確認
- 感染症検査:症状悪化時に細菌やウイルス感染の可能性を調べる
副作用や合併症のチェック
潰瘍性大腸炎の治療に使われる薬には、副作用が生じる可能性があるため、定期的な検査が重要です。
✅ 肝機能・腎機能検査(血液検査)
- 5-ASA製剤や免疫抑制薬の副作用チェック
✅ 骨密度検査(DXA検査)
- ステロイドを長期使用している場合、骨粗鬆症のリスクを確認
✅ 感染症スクリーニング
- 免疫抑制薬や生物学的製剤を使用する際、結核・B型肝炎などの感染症の有無をチェック
病状管理のための定期検査スケジュール
病状や治療内容に応じて、検査の頻度は異なりますが、一般的には以下のようなスケジュールで検査を行います。
📅 3〜6ヶ月ごと:血液検査・便検査
📅 1年ごと:大腸内視鏡検査(病状が安定していれば2〜3年ごと)
📅 必要に応じて:CT・MRI検査、骨密度検査など
検査結果を治療にどう活かす?
検査結果に基づき、以下のような対応が取られます。
✅ 炎症が強い場合 → 治療の見直し(薬の増量や変更)
✅ 寛解状態が続いている場合 → 維持療法を継続
✅ 副作用のリスクが高い場合 → 服薬内容を調整し、副作用の予防策を講じる
まとめ
潰瘍性大腸炎の治療中には、定期的な検査が不可欠です。症状が安定している場合でも、合併症や薬の副作用を防ぐために定期検査を受けることが重要です。
検査を適切に活用し、医師と相談しながら治療を続けましょう。