上室性頻拍
上室性頻拍(じょうしつせいひんぱく)は、心房や房室接合部(心臓の上部)から発生する異常な電気信号によって、突然速い心拍が起こる不整脈です。発作性に起こることが多く健康な人でも見られることがあります。
通常の心拍数は1分間に60~100回ですが、上室性頻拍では150~250回/分の速さになることがあります。
発作性上室性頻拍(PSVT)
上室頻拍が発作的に起こるものを発作性上室性頻拍といいます。
心房、洞結節、房室接合部などが関与し、発作的に頻拍が始まり、突然終わる特徴がある疾患です。そのため持続時間は短く症状は比較的感じる不整脈です。
上室性頻拍の原因
器質的心疾患のない元来元気な方が85%を占めます。疲労、飲酒、運動、ストレスなどで発作は誘発されやすくなると言われています。
上室性頻拍の原因は、回路と言われる異常な電動のループが作られることでリエントリーと言われる変な電気振動が伝わってしまうことです。
また、不正な回路の場所により房室結節回帰性頻拍(AVNRT)、房室回帰性頻拍(AVRT)心房頻拍等の名前がついています。
稀にWPW症候群という先天的な疾患もあります。
上室性頻拍の主な症状
SVTの症状は、発作時の心拍の速さや持続時間によって異なります。
- 突然の動悸(急に心拍が速くなる)
- 胸の圧迫感や不快感
- めまいやふらつき
- 息切れ
- まれに失神することもある
発作は数秒から数時間続くことがあり、自然に治まる場合もあれば、医療処置が必要になることもあります。
4. 上室性頻拍の診断方法
上室性頻拍の診断には以下の検査を行います。
- 心電図(ECG):発作時に特徴的な波形が見られる。
- ホルター心電図:24時間心電図を記録し、発作を捉える。
- 心エコー:心臓の構造的異常の有無を確認します。
- 電気生理学的検査(EPS):異常な電気回路を特定します。
発作がまさに起こっている場合は心電図が一番効果的です。
5. 上室性頻拍の治療方法
の治療は、発作時の対応と長期的な管理に分かれます。
① 発作時の対処法
- 迷走神経刺激法(迷走神経マッサージ、冷水顔浸し)
- 薬物療法(アデノシン、カルシウム拮抗薬、β遮断薬等)
血圧が低くなるなど、重症の状態でなければmまずは迷走神経刺激法を試します。バルサルバ手技は”座位になり,力まず息を吐き出す→鼻をつまんで口を強く閉じた状態で,15秒ほど息こらえをする方法”です。
アデノシンの投与後は顔面潮紅や胸内苦悶、頭痛などが一過性に起きるますが薬の作用です。
② 長期的な管理
- 生活習慣の改善(ストレス管理、カフェインやアルコールを控える)
- 薬物療法(β遮断薬、抗不整脈薬)
- カテーテルアブレーション(異常な電気経路を焼灼し、根本治療)
症状が短く軽い場合は再発予防は必ずしも必要がありません。しかし、予防が必要な場合はカテーテルアブレーションが有効性が高く、安全性を持って治すことが可能なため希望があれば検討します。
その他β遮断薬、抗不整脈薬による再発予防も有効です。
6. 上室性頻拍の合併症と注意点
SVT自体は生命に直結することは少ないですが、長時間続くと心不全や血栓のリスクが高まるため、適切な管理が重要です。頻繁に発作が起こる場合は医師に相談することが大切です。
7. 上室性頻拍と上手に付き合うために
上室性頻拍は適切な治療や管理を行えば、通常の生活を送ることが可能です。
- 発作時の対処法を知る
- 指摘されている方は定期的な検査を受ける
- 医師と相談しながら治療を進める
- 生活習慣を改善し、発作のリスクを減らす
気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診し相談することをお勧めします。