令和7年1月より消化器内科の医師が加わり、新たな診療体制となります。

新型コロナウイルスとは何者

大岩町の新聞に投稿した文章です。

 世間の話題を独り占めにしている新型コロナウイルスはどんな病原体なのでしょうか。本当に恐ろしい凶悪なウイルスでしょうか。

 コロナという名前の由来はギリシャ語の王冠(corona)からです。私がコロナから思い出すのはトヨタ車のコロナです。子供の頃に父が運転していました。天文に詳しい人なら太陽コロナ、太陽の周りの大気の名前です。ビール好きはメキシコのコロナビールでしょう。狭心症の人なら心臓の血管、冠動脈が英語でcoronary arteryと言います。冠動脈が月桂冠に似ているから名付けられました。コロナウイルスも球形で縁に棘がたくさんあるのでコロナです。

 医学生の時に学んだコロナウイルスは完全に脇役的存在でした。単なる風邪のウイルスで、重症化なんて考えられない弱虫でした。コロナウイルスの恐怖が伝えられたのは平成14年11月に見つかった重症急性呼吸器症候群(サーズ)の時です。死亡率が10%弱ありました。新型コロナウイルスで1.7%です。不思議なことに日本人は一人も感染しませんでした。清潔が一番だと思いました。

 ヒトに日常的に感染するコロナウイルスは4種類で、風邪の15%で冬季に流行、ほとんどの人が6歳までに感染を経験する弱い奴です。動物型が多数あり、通常はヒトに感染しません。これが種の壁を乗り越えると今回の様なパンデミックを引き起こします。

 ウイルスにはRNAウイルスとDNAウイルスがあり、RNAウイルスは変異しやすいとされています。コロナウイルスはこのタイプで、イギリス型インド型と変異していきますが、インフルエンザウイルスをみてもわかるように、変異しながら弱毒化していきます。ウイルスが宿主との共存をはかるためだと思われます。変異株に必要以上の心配をする必要はなく、喫煙や不潔が重症化を招きますので、清潔に元気に生活していけば大丈夫です。

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