今回はよく健診でひっかかることも多いコレステロールと中性脂肪についてです。
意外とほっとけない病気なので詳しくお話しします。
コレステロール、中性脂肪とは
LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪(TG)などの項目は日々の病院での採血検査や健診の項目に入っていることも多いです。
そして多くの方で少なからずひっかかったこともあるのではないでしょうか。なぜならコレステロール、中性脂肪の上昇のほとんどは生活習慣によりおこります。
これらが高い人は脂質異常症という病名となります。
これらは症状がないため放置をしがちですが、放置すること脳梗塞や脳出血などの脳卒中、心筋梗塞などの虚血性心疾患、腎硬化症などの慢性腎不全などの動脈硬化疾患に加え脂肪肝など全身の臓器に影響があります。
このように放置するとさまざまな命に関わる病気のリスクとなるため、すぐに薬での治療をしないまでも注意しておく必要があります。
コレステロール、中性脂肪が高いときには
上でも脂質異常症はすぐに薬を始める必要はありません。(心筋梗塞の既往がある方は薬物治療が必要となるケースが多いです)
そのため、まずは評価と生活習慣の改善が大きな治療です。
原因検査を行う
脂質異常症の大きな原因は生活習慣(食生活、アルコール、運動不足、ストレス)などですが、その中には甲状腺に異常など原因となる病気が隠れていることもあります。
そのため、原因検索のため採血検査を行う場合があります。また、現時点での動脈硬化の度合いを頸動脈エコーなどで評価を行う場合もあります。
生活習慣の改善
生活習慣の改善が脂質異常症の治療においては一番大切です。
生活習慣の改善とは具体的には
- 禁煙を行う
- 食べ過ぎないようにして標準体重を維持する
- 肉の脂身、乳製品、卵黄を控え、魚類や大豆製品を増やす(日本食のような食事)
- 食塩を控える(6g/day未満)
- 食物繊維の摂取を増やす
- アルコール過剰摂取をひかえる
- 有酸素運動(ジョギングや散歩など)を30分以上を週3回以上。できれば毎日を行う
などがあります。これらの治療には薬のような大きな副作用もなく、効果も絶大です。
食事については減塩した日本食のような食事が推奨されています。そのような食事で総死亡および冠動脈疾患死亡リスクが約20%低いという研究結果もあります
*Nakamura Y, et al. A Japanese diet and 19-year mortality: national integrated project for prospective observation of non-communicable diseases and its trends in the aged, 1980. Br J Nutr. 101(11):1696-705, 2009.
薬物治療(薬での治療)
これらの生活習慣の改善でも改善を認めない方は薬物での治療を行います。
薬物療法の開始に当たってはLDLコレステロールの数値や年齢、性別、リスクが高いかどうかで必要性や目標値の評価を行います。
若い方の場合は、副作用のリスクとメリットを考慮して慎重に検討することになります。
まとめ
今回はコレステロール、中性脂肪についてでした。
症状がないため放置してしまうこともあるかと思いますが、放置することで突然強い病気を発症するリスクがあるため、健診などで引っかかった際には生活習慣を見直しつつ、一度病院へ受診することをお勧めします。