ピロリ菌除菌による胃がん予防効果のエビデンス

ピロリ菌感染と胃がんリスク

ヘリコバクター・ピロリ菌(H. pylori)感染は胃がんの主要な原因とされ、ピロリ菌の感染がない集団では胃がん発生率が極めて低いことが示されています ( Prevention of gastric cancer by Helicobacter pylori eradication: A review from Japan – PMC )。そのため、ピロリ菌感染胃炎に対して除菌治療を行えば胃がんの発症を減らせるのではないかと考えられ、世界的に多数の研究が行われてきました。

特に日本や東アジアは胃がんの発症率が高く、ピロリ菌感染者に対する集団的な検査・除菌政策も検討されています (Eradication Therapy to Prevent Gastric Cancer in Helicobacter pylori–Positive Individuals: Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials and Observational Studies – Gastroenterology)。

ここでは、ピロリ菌除菌が胃がん予防に与える効果について、臨床研究やメタ解析のエビデンスをまとめます。

除菌治療による胃がん発症リスクの低下

多数の研究で、ピロリ菌除菌により胃がんの発症リスクが有意に低下することが示されています。主なエビデンスは以下の通りです。

以上より、ピロリ菌除菌治療は胃がん発症リスクを確実に低減させることが多数の一次研究で示されています。特にピロリ感染者が若いうち(前がん病変が進行する前)に除菌することで、リスク低減効果は一層大きくなります。

除菌後の長期追跡データと発がん率の変化

ピロリ菌除菌の予防効果が長期的に持続するかを検証した研究も複数あります。長期追跡のデータからは、除菌による胃がん抑制効果は少なくとも10年以上にわたり継続し、時間とともに明確になってくることが示唆されています。

総じて、除菌治療による胃がん予防効果は長期にわたり持続し, 追跡期間が長くなるほど発がん率・死亡率の低下が明確になることが示唆されています。特に発がんハイリスクの集団では、除菌後8~10年を過ぎる頃から胃がんの累積発生率曲線がプラトー化し始め、以降は対照群との差が拡大すると報告されています ( Effects of Helicobacter pylori treatment and vitamin and garlic supplementation on gastric cancer incidence and mortality: follow-up of a randomized intervention trial – PMC )。したがって、公衆衛生レベルでも早期除菌介入から10年以降に本格的な胃がん減少効果が現れると考えられます。

日本やアジア諸国での研究結果と今後の展望

東アジアはピロリ菌感染率・胃がん発生率ともに高い地域であり、日本やアジア各国から除菌による胃がん予防効果を示す研究報告が多数あります。それらの知見は各国の政策にも影響を与えています。

まとめ

ピロリ菌の除菌治療は、胃がんの一次予防に有効であることが数多くの研究で示されています

臨床試験やメタ解析の結果、除菌により胃がん発症リスクがおおむね半分程度に低下し (ヘリコバクター・ピロリ菌除菌と胃がんリスク | 現在までの成果 | 科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究 | 国立がん研究センター がん対策研究所)、特に若年層で除菌を行うことで予防効果が最大化します 。

高齢者でも除菌によるリスク低下はみられるものの、一部リスクは残存するため定期的な監視が推奨されます。除菌効果は長期に持続し、10年以上のスパンで見れば胃がん罹患率・死亡率の有意な減少が確認されています ( Effects of Helicobacter pylori treatment and vitamin and garlic supplementation on gastric cancer incidence and mortality: follow-up of a randomized intervention trial – PMC ) ( Effects of Helicobacter pylori treatment and vitamin and garlic supplementation on gastric cancer incidence and mortality: follow-up of a randomized intervention trial – PMC )。

日本や韓国、中国など胃がん多発国からのエビデンスは、ピロリ菌検査・除菌の公衆衛生的介入を支持するものであり (Eradication Therapy to Prevent Gastric Cancer in Helicobacter pylori–Positive Individuals: Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials and Observational Studies – Gastroenterology)、今後さらに長期の追跡研究や他地域での検証が進めば、「ピロリ菌感染症の制御=胃がん予防」という戦略が国際標準として確立されることが期待されます。

みどりのふきたクリニック

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診療科循環器内科、消化器内科
内科、訪問診療
院長吹田浩之
日本循環器学会認定循環器内科専門医
場所静岡市葵区大岩町4-23 
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