胆管がん
胆管がんは、肝臓から十二指腸へ胆汁を運ぶ胆管という臓器に発生するがんです。胆管がんにはさまざまな種類があり、発生する場所により名前が異なります。
比較的まれな疾患ですが、症状が早期では出にくいため、早期発見が難しく、進行すると治療が難しくなることが多い病気です。本記事では、そんな胆管がんの原因、症状、診断、治療法について解説します。
胆管がんの種類
胆管がんは発生する部位によって以下の3つに分類されます。
肝内胆管がん(肝内型)

肝臓の内部にある胆管に発生するがんです。肝臓の中にできるため、肝臓がんと似た特徴を持ちます。
他の胆管がんと比べて黄疸が出現しにくく初期の段階では自覚症状が少ないため、発見が遅れることがあります。
肝門部胆管がん(肝外型)

肝臓の外にある胆管の中でも、肝臓に近い部分に発生するがんです。肝門部胆管が障害されると、肝臓内の胆管が、遠位胆管(肝臓外の胆管)と泣き別れの状態になることもあり、胆管が詰まってしまうと治療に難渋します。
また、肝門部は、近くに胆管と並行して門脈や肝動脈といった重要な血管と近接しているため、手術が難しい場合があります。
遠位胆管がん(肝外型)

遠位胆管がんは、胆管のうち、肝臓の外で膵臓に近い部分に発生するがんです。症状の出方や経過は比較的膵臓癌と症状が似ており、黄疸が最初の症状として現れることが多く、症状が現れやすいです。
また、一部はしらべても膵臓癌との区別が難しいものもあり手術などにより診断されることもあります。
胆管がんの原因とリスク要因
胆管がんのリスクとしてはさまざまなものが言われています。
慢性的な胆管の炎症がある
胆管に慢性的な炎症を引き起こす病気(原発性硬化性胆管炎や胆管結石など)があると、胆管がんのリスクが高まります。
胆管の先天的異常がある
膵・胆管合流異常などの生まれながらの構造の異常により発生しやすいことが報告されています。
膵・胆管合流異常は、膵管と胆管という本来繋がっていない管が繋がることで、胆管に慢性的な炎症をきたす病気です。膵炎を起こしやすいなどはありますが、特に症状がない場合も多く、重大な病気の診断となった後に診断されるケースが多いです。
男性である
胆管がんは男性は女性に比べて2倍なりやすいという報告があります。
また、男性においては、喫煙や過度なアルコール摂取、肥満などもがんのリスクを高める要因の一つとされています。化学物質による発生も報告がされています。
胆管がんの症状
胆管がんは進行するまで症状が現れにくいですが、次のような症状がみられることがあります。
黄疸
胆汁の流れが悪くなることで、胆汁の排出が滞ってしまい、皮膚や白目が黄色くなる黄疸が現れます。また、便が白くなる、尿が濃くなるという症状が出る場合もあります。
体重減少・食欲不振
さまざまな癌と同様に、がんの進行に伴い、食欲が低下し体重が減少することがあります。
腹痛・背部痛
胆管の閉塞やがんの進行による圧迫によって、腹部や背中に痛みを感じることがあります。ただ、総胆管結石などの他の胆管におこり黄疸が出現する病気よりは腹痛の頻度は少ない特徴はあります。
かゆみ
胆汁の排出障害によって、黄疸の症状として皮膚のかゆみを感じることがあります。通常は黄疸とセットに起こる症状です。
発熱
胆管炎を起こす場合など、発熱をきたすことがあります。
これらが1つだけで胆管がんをすぐに疑うことはありませんが、複数組み合わされる場合には精査も検討する必要があります。
胆管がんの診断方法
胆管がんの診断では下記の内容が行われます。
血液検査
胆管がんでは早期に肝機能の異常が出る場合があり、採血にて確認します。また、積極的に疑われれば腫瘍マーカー(CA19-9、CEA)の測定が行われます。
画像検査
胆管がんを疑う場合はさまざまな画像検査を組み合わせて診断します。例えば、超音波検査、CT検査、MRI(MRCP)検査などがあります。
それにより胆管の閉塞の原因や腫瘍の有無を確認したり、周囲への浸潤度を評価するなどします。
内視鏡検査(ERCP)
その他の検査で疑わしい場合や黄疸がある場合は、入院の上、内視鏡を使って胆管の状態を詳しく調べ、細胞診や生検を行います。
胆管がんの治療方法
手術療法
がんが早期であれば、胆管を切除する手術が行われます。手術の範囲はがんの位置や広がりによって異なります。
放射線療法
手術が難しい場合や、再発予防のために放射線療法が行われることがあります。
化学療法(抗がん剤治療)
胆管がんは発見されたときにすでに手術ができないケースがあります。手術ができない場合や再発時に、ゲムシタビンやシスプラチンといった抗がん剤を用いた治療が行われます。
緩和ケア
進行がんの場合、黄疸の軽減や痛みの緩和を目的とした治療(胆道ステント挿入など)を行い、生活の質を向上させることが重要です。
また、緩和ケアは化学療法と併用して行われることもあります。
まとめ
胆管がんは、胆管に発生するがんであり、進行すると治療が難しくなることが多い疾患です。
早期発見のためには、リスク要因を理解し、定期的な検診や検査を受けることが重要です。定期的な健康診断はうけるようにしつつ、気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

