アニサキス症
アニサキス症とは、アニサキスという寄生虫が付着した魚介類を生で食べることで発症する食中毒の一種です。
アニサキスは主にサバ、アジ、イカ、サンマ、サケなどに寄生しており、生食を行うことで口から人の体に入り、胃や腸で留まり、強い腹痛や嘔吐などの症状を引き起こします。
食べてから症状が発症するまでが比較的みじかく、原因と思われる食事がはっきりしていることも特徴です。アニサキスは人間の体で長く生きることはできないため、最終的には改善しますが、胃カメラでアニサキスを摘除することで、症状が改善します。
アニサキスの原因と感染経路は?
アニサキスは、生の魚介類を摂取することで感染します。多くは摂取から数時間で約70%は8時間以内に発症します。そのため、比較的疑いやすいです。(直前に刺身などを食べている場合等)
アニサキスは人間の体に寄生して成長することはできない(終宿主ではない)ため、時間が経つと1週間程度で自然に死滅しますが、胃や腸の壁に噛みつき、アレルギー反応を起こし症状を起こします。
また、寄生虫に近いので人から人にうつることは通常ありません。
アニサキス症の症状は?
アニサキス症の症状は激烈であることが多いです。具体的には下記のような症状を起こします。
✅ 急な激しい胃痛(食後数時間以内に発症)
✅ 吐き気・嘔吐
✅ 腹部の違和感や膨満感
アニサキス症は胃が90%以上を占めており胃の症状が多いです。
症状は非常に強く、胃や腸にアニサキスが噛み付くことで炎症を引き起こします。通常、体内でアニサキスは数日以内に死滅しますが、症状は激烈で、稀にアナフィラキシーという強いアレルギーを起こす場合もあります。
アニサキス症の診断方法
アニサキスかどうかは問診や診察で疑います。実際に疑う場合は、胃カメラで行って診断及び治療を行います。
食べてから症状発症までの時間が短いため、疑わしい食事や症状から疑えば胃カメラで直接観察および治療を行います。アニサキスの抗体を採血で調べる方法もありますが、結果が出るまでに時間がかかり、それまでに症状が改善していることもあるため、疑わしければ胃カメラを行います。
- 問診・症状の確認(生魚の摂取歴をチェック)
- 胃カメラ(胃にいるアニサキスを直接確認)
- 超音波(エコー)・CT検査
アニサキス症の治療方法
アニサキスの治療法は通常内視鏡による除去です。
内視鏡による除去
内視鏡を使ってアニサキスを摘出を目指します。摘出後、症状はすぐに改善する場合が多いです。
胃の場合は摘除できますが、腸で症状を起こしている場合は内視鏡での摘出が難しいため、対症療法となる場合もあります。
薬物療法
痛みを和らげるための鎮痛剤を使用して対症療法を行います。アニサキスを殺す薬はないため、基本的には内視鏡による除去が推奨されます。
自然治癒
長くても1週間程度でアニサキスは死滅するため、時間が経てば自然に症状は改善します。その間激しい痛みが続くこともあるため、疑わしければ通常は内視鏡で摘除を目指します。
アニサキス症の予防方法
生食をしないことが完全に避ける方法ですが、日本人にとって、魚の生食は完全に排除することはできないと思います。アニサキスは冷凍または加熱すると死滅するため、心配な場合は冷凍されたものを選ぶと良いでしょう。
また、内臓はアニサキスが寄生している可能性が高いため内臓は避けることが大切です。
まとめ
アニサキス症は、生の魚介類を食べることで発症する寄生虫感染症です。食べてから8時間以内に発症し強い胃痛を引き起こし、医療機関での内視鏡による除去が必要になることが多いです。
予防のためには、魚を適切に冷凍したものと選ぶことや心配なら加熱し摂取するようにしましょう。
【注意】 本記事は一般的な情報提供を目的としており、診断や治療の代わりとなるものではありません。症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診してください。