体重が減った(体重減少)とは
体重はからだの大事な指標の一つです。
意図的に体重を減らしているとき以外(ダイエットなど)に、半年ほどの期間で数キロの体重が減った場合、怖い病気が隠れていることもあります。
今回は体重減少があった際にどんなことを気をつけるか?どのような時に病院へ受診すればいいかの目安をお伝えします。
体重減少の定義と種類とは?
体重減少とは、意図しない体重の低下を指し、一般的に 6か月以内に体重の5%以上が減少 すると病的と判断されることが多いです。
体重減少の原因は、消化器系・内分泌系・がん・精神的要因・慢性感染症 など多岐にわたります。例えば下記にのようなものがあります。
体重減少の種類 | 特徴 |
---|---|
一時的な体重減少 | 食事量の減少やストレスが原因で起こる |
慢性的な体重減少 | 1か月以上続く場合は病気の可能性 |
食欲低下を伴う体重減少 | 消化器系や精神的な問題が関与 |
食欲はあるのに体重が減る | 甲状腺機能異常、糖尿病、がんの可能性 |
体重減少の原因と考えられる病気はなにがある?
体重減少の原因は、消化器系・内分泌系・がん・精神的要因・慢性感染症・その他の病気 に分けられます。
消化器系の病気が原因の体重減少
胃がん・食道がん
- 症状:体重減少、食欲不振、胃もたれ、黒色便
- 原因:ピロリ菌感染、喫煙、過度の塩分摂取
- 特徴:初期症状が乏しく、進行すると顕著な体重減少がみられる
慢性胃炎・萎縮性胃炎
- 症状:胃もたれ、食欲不振、体重減少
- 原因:ピロリ菌感染、ストレス、加齢
- 特徴:胃の粘膜が萎縮し、消化吸収が低下
肝硬変・慢性肝疾患
- 症状:体重減少、倦怠感、腹水、黄疸
- 原因:アルコール、ウイルス性肝炎、脂肪肝
- 特徴:進行すると栄養吸収が低下し、筋肉量が減少
膵炎・膵がん
- 症状:体重減少、上腹部痛、脂肪便(白っぽい便)
- 原因:アルコール、喫煙、遺伝
- 特徴:膵臓の消化酵素分泌が低下し、栄養吸収が障害される
内分泌系の病気が原因の体重減少
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
- 症状:体重減少、動悸、発汗、手の震え
- 原因:甲状腺ホルモンの過剰分泌
- 特徴:食欲が増えているのに体重が減る
糖尿病(特に1型糖尿病)
- 症状:体重減少、頻尿、口渇、疲労感
- 原因:インスリン不足によるエネルギー不足
- 特徴:食欲はあるのに体重が減る
副腎不全(アジソン病)
- 症状:体重減少、倦怠感、低血圧、皮膚の色が黒くなる
- 原因:副腎ホルモンの不足
- 特徴:ストレス時に症状が悪化する
がんが原因の体重減少
消化器系がん(胃がん・大腸がん・膵がん)
- 症状:食欲不振、体重減少、便通異常
- 原因:がん細胞の影響で栄養吸収が阻害される
- 特徴:がんの進行とともに急激な体重減少が見られる
血液のがん(白血病・リンパ腫)
- 症状:体重減少、発熱、倦怠感
- 原因:骨髄やリンパの異常
- 特徴:発熱や夜間の寝汗を伴うことが多い
精神的要因が原因の体重減少
うつ病
- 症状:食欲不振、体重減少、倦怠感、不眠
- 原因:セロトニンなどの神経伝達物質の異常
- 特徴:食べる意欲が低下し、極端に体重が落ちることがある
摂食障害(拒食症・過食症)
- 症状:体重減少、栄養失調、無月経
- 原因:心理的要因(自己評価の低さ、ストレス)
- 特徴:特に若い女性に多い
慢性感染症が原因の体重減少
結核
- 症状:長期間の咳、微熱、体重減少
- 原因:結核菌感染
- 特徴:慢性的に症状が続く
HIV/AIDS
- 症状:体重減少、発熱、倦怠感、皮膚の異常
- 原因:免疫低下による慢性感染症
- 特徴:免疫力が低下し、さまざまな感染症にかかりやすくなる
病院に行くべき体重減少とは?
そんな体重減少でもとくに病院へ受診した方が良いと考えられる症状はどんなものがあるのでしょうか?
すぐに受診すべき危険な症状
以下の症状がある場合、直ちに医療機関を受診を検討しましょう。
- 1か月以内に5%以上の体重減少(病的な可能性)
- 食欲不振が続く(消化器疾患・がんの可能性)
- 発熱・咳・寝汗を伴う(結核や感染症の可能性)
- 便が黒い・血が混じる(胃がん・大腸がんの可能性)
- 強い倦怠感を伴う(糖尿病・甲状腺機能亢進症の可能性)
これらはただの体重減少ではなく、症状の原因となる疾患がある可能性が高い症状です。放置せずに受診を検討しましょう。
何科に行くべき?
体重減少の原因によって、受診すべき診療科が異なります。参考としてはこのようなものです。
迷う場合は内科への受診が勧められます。
症状・病歴 | 推奨される診療科 |
---|---|
胃もたれや食欲不振がある | 消化器内科 |
動悸や発汗を伴う | 内分泌内科(甲状腺専門) |
咳が続き、微熱がある | 呼吸器内科 |
気分の落ち込みが続く | 心療内科・精神科 |
まとめ
体重減少は 胃腸の病気・ホルモン異常・がん・感染症・精神的な問題 などが原因で起こります。特に 短期間で急激に体重が減少する場合は重大な病気の可能性があるため、速やかな受診が必要 です。
気になる症状がある方は、自己判断せずに医療機関へご相談ください。