肝硬変とは?

肝硬変とは

肝硬変とは

肝硬変とは、慢性的な肝臓の炎症(肝炎が続くことで、肝臓の細胞が線維化し、肝臓自体が文字通り硬くなってゴツゴツしてしまい、機能を失っていく病気です。

肝硬変へ

肝硬変が進行すると、肝臓の機能が低下し、それに伴いさまざまな症状を引き起こす可能性があります。また、肝臓がんの発生もあり注意が必要な病気です。

肝硬変の原因

肝硬変の主な原因は以下のとおりです。2018年の我が国の調査(肝硬変成因別調査)ではB型肝炎、C型肝硬変がそれぞれ11.5%、48.2%と全体の半分以上を占め、次いでアルコール性(19.9%)、MASH(6.3%)と続きます。

  • 慢性ウイルス性肝炎(B型・C型肝炎):肝炎ウイルスが肝臓に長期間影響を及ぼします。
  • アルコール性肝疾患:長年にわたる過剰な飲酒が原因となります。
  • 代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH):肥満や糖尿病などに伴う脂肪肝の悪化によるもの。
  • 自己免疫性肝炎:自己免疫が異常に働き、肝臓を攻撃することで発症。
  • 原発性胆汁性胆管炎(PBC)・原発性硬化性胆管炎(PSC):胆汁の流れが悪くなることで肝臓に負担がかかる病気

これまではウイルス肝炎が中心でしたが、それに対する治療が確立されてきたこともあり、最近は生活習慣による肪肝由来の肝硬変(MASH)が増えてきています。

また、珍しいタイプの肝硬変も含めるとさまざまな種類があります。

肝硬変の症状

肝臓は沈黙の臓器と言われており、肝硬変は初期の段階では自覚症状が少ないまたはほぼないです。しかし、肝臓は色々な仕事を行っている重要な臓器のため、進行すると以下のような症状が現れます。

  • 倦怠感・疲れやすい
  • 黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)
  • 腹水(お腹に水がたまる)
  • 食欲不振や体重減少
  • 皮膚のかゆみ
  • 出血しやすくなる(鼻血や歯茎からの出血など)
  • 手のひらの赤みやクモ状血管腫(血管が浮き出る)

そのため症状は肝硬変が軽い場合はほとんど現れず、採血でその兆候がある程度です。しかし、進行すると、上記のような症状が出現し、そのうち不可逆性(非代償性肝硬変)になりますさらに進行すると肝不全や肝がんに移行するリスクが高まります。

肝硬変の診断方法は?

肝硬変の診断には、以下の検査が行われます。

  • 血液検査:肝機能を評価します(AST,ALT,Alb,PT,M2BpGiなど)
  • 腹部超音波検査(エコー):肝臓の状態を観察。
  • CT・MRI検査:肝臓の線維化の程度を確認。
  • 肝生検:肝臓の組織を採取し、詳しく調べます。
  • フィブロスキャン:肝臓の硬さを測定。

肝硬変の評価は採血、エコーがメインで行います。肝硬変はグレード分けでA、B、Cがあり、Cが一番悪い状態です。

それらの評価には

  • 肝性脳症の有無
  • 腹水の有無
  • 血清ビリルビン値
  • 血清アルブミン値
  • プロトロンビン活性値
  • プロトロンビン時間

を使用して行います。その評価をもとに治療を組み立てていきます。また、繊維化を調べる方法には、年齢や一般的な採血結果から推定するFIB-4indexという方法もあり、それは下の記事から自分で測定できるためぜひ試してみてください。

肝硬変の治療方法

肝硬変の治療は、その時に肝硬変の度合い(腹水があるか?栄養状態はどうか?など)によって大きく変わります。

そのため、人に合った薬剤を使用しながら、ウイルス性肝炎などまず肝硬変の原因が治療可能な場合にはその治療を優先します。

生活習慣の改善

肝硬変の進行を抑えるために、以下の生活習慣の見直しが重要です。

  • アルコールを控える
  • バランスの良い食事を摂る(高タンパク・低塩分の食事)
  • 過度な運動を避け、適度に身体を動かす
  • 肝炎ウイルスの治療を受ける(該当する場合)
  • 肥満を解消し、糖尿病や脂肪肝の管理をする

生活習慣によっては非常に肝臓にダメージを与えてしまう可能性があり、それをまずは和らげることが大切です。しかし肝硬変までになっていると薬剤の治療が必要なケースも多いです。

薬物療法

肝硬変の進行度や原因に応じて、以下の治療が行われることがあります。

  • ウイルス性肝炎の治療(抗ウイルス薬)
  • 利尿剤(腹水の改善)
  • 肝臓を保護する薬
  • 抗菌薬
  • 栄養療法
  • 食道静脈瘤の管理(内視鏡治療など)

まずC型肝炎やB型肝炎など肝炎ウイルスがいる場合にはその治療を行います。アルコールを飲んていてそれが原因の場合は禁酒治療を行います。

それ以外には利尿薬や肝保護薬等様々な薬剤を組みあせて治療していきます。重症化した場合は、肝移植が必要となることもあります。しかし適応となる方は非常に少なく、基本的にはそれ以上悪くしないように治療していきます

肝硬変の予防。肝硬変にしないためには

肝硬変を予防するためには、以下の対策が重要です。

  • B型・C型肝炎の早期発見、治療
  • 過剰な飲酒を避ける
  • 脂肪肝を予防し、健康的な体重を維持する
  • バランスの良い食事を心がける
  • 定期的に健康診断を受ける

特に肝臓が悪いと言われている方は定期的な検査を受けることが重要です。肝臓は痛みのない臓器のため、人知れず思いの外進行している可能性があり、進行すればするほど改善が難しくなります。

また、肝臓に負担をかけるような暴飲暴食やアルコールの過剰摂取は控えるように心がけましょう。

まとめ

肝硬変は、早期発見と適切な治療・生活習慣の改善が重要な病気です。特に肝炎ウイルスの治療やアルコールの制限、食生活の見直しが予防につながります。

当院では消化器内科医による肝臓の診療も行っております。肝臓で気になることがある方はこの機会に受診も検討してみてください。


【注意】 本記事は一般的な情報提供を目的としており、診断や治療の代わりとなるものではありません。必ず医師の診察を受け、適切な治療を受けることをおすすめします。

みどりのふきたクリニック

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